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「渡瀬君、太宰です。来たよ」
チャイムを鳴らされて、玄関の前に来たら、扉越しに太宰君の声がして扉を開ける。其の儘太宰君を家に上げた。
あれから数週間の日が経っており、久し振りに見る太宰君は相変わらず包帯塗れではあるが、今日は前見た時のスーツ姿では無く、少しラフな格好をしていた。
「おー、久し振り、太宰君」
「時間が空いてしまって済まないね。此れはこの間のお礼だ」
何やら結構な荷物を持って来た太宰君に荷物を渡される。袋の中には調味料やら何やらが入ってる中に、蓋が透明で矢鱈と綺麗な木箱の中に、高級そうな包丁が乱雑に一緒に押し込まれていた。
「えっ、何、この包丁……と、調味料…」
「? この間のお礼。君自炊するんでしょう?良い包丁は良く切れるよ。此れを使うと良い」
「いやいやいや!こんな高価そうなの受け取れないよ」
そう言えばちょっとムッとした顔の太宰君に少したじろぐ。
いやいや、それにしたってどう見ても俺では手が届きそうもない類の高級包丁だこれ。太宰君も良い包丁、とか云ってるし。
「……だって本当に美味しかったんだもの。御礼してもし足りないくらいなんだから」
有無を言わさず受け取れオーラの太宰君に、暫く俺は葛藤するもののジッと見つめてくる瞳に何とも言えなくなって、「……有難う」と受け取れば、満足そうに太宰君は笑った。
「あとこの間の着替え。ちゃんと洗濯しておいたし、綺麗にしてる。」
「別に貰っても良かったのに」
「……それと、その…」
着替えとは別の袋を太宰君は恐る恐ると云った感じで出す。
何だろう、これ。食材とか色々入ってる。
「その、君、また食べにおいでって云ってくれただろう。材料は私が購って来た。多分これで大丈夫だとは思うんだけど」
袋の中身を見れば、じゃがいも、人参、玉ねぎ、等様々な材料が入ってる。材料を見て幾つか候補が思い浮かんだのだが、ある一つの物を見て確信した。
「ああ、……咖喱 食べたいの?」
「うん」
「じゃあ早速この包丁の出番な訳だ」
「うふふ、絶対切れ味凄いよ、其れ。私が特別に作らせたオーダーメイド品だもの」
「……え゛ 此れマジで幾ら?」
「…内緒」
不敵に笑う太宰君に少し薄ら寒さを感じたものの、貰ったものは使わないと勿体無いので、おっかなびっくりしながら、俺はその高級そうな木箱の蓋を開けた。
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時