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昼から太宰達は仕事があるらしく、折角ならと俺の家で朝食を食べてから出て行く事になった。
太宰と中也が朝食が出来るまで互いにボコボコにし合っていた姿を、正座でちょこんと見ていたあの子は昨日よりは顔色はどうやらマシな様だった。
粗方の用意は済ませて、後は数分で飯が炊けるという時、俺はその子の横へと行く。
昨日よりは警戒はされてないみたいだが、何だ、と云わんばかりにジトリと睨まれる。目付きが悪いから結構迫力があるが、結構睫毛長いなと如何でもいい発見をした。
「名前聞いてなかったね。俺は渡瀬A。君は何ていうの」
「…………芥川龍之介だ」
少しの間を置いた後に小声で呟かれたその名前は、病弱な身体に反して矢鱈と強そうだった。あとカッコいい。
年端も未だいかない、俺と同じく未だ親の元で庇護を受けなければいけない様な年頃であろうに、マフィアで過酷な環境の中生きているこの子に、何処と無く危うさを感じる。
同情ではない。只、その身体なのだ。きっと普段から体調不良なのだろうに、其れでも懸命に太宰の後を付いて行こうとするその姿が如何にも気にかかるだけなのだ。
「じゃあ龍、って呼んでいい?」
「は?」
「芥川って呼びにくいし。まあ突然下の名前呼びは流石に厭かな」
無理にとは云わないが、其れでもこの子は「好きにしろ」と厭そうではあるが、確かにそう云った。俺は知らないが、太宰がこの子に色々と釘を刺しているから割と聞き分けがいい事は知らずに──だが、呼んでもいいなら遠慮なくよばせてもらおう。
「もうすぐ飯炊けるんだけど、飯少なめな方が良い?」
「…そうさせてもらおう」
「俺じゃちゃんとした手当出来ないから、向こう戻ったらちゃんと見てもらいなよ、肋骨」
「貴様に云われずともそうする」
口は悪いが、受け答えをしてくれるだけ未だマシか。
飯が炊けた音がして、未だに暴言を吐きながら互いをボコボコにしあう莫迦2人に脳天に手刀を食らわせる。
「………貴様は何故、僕を、…」
脳天を抑える2人に説教をしていた俺の後ろで、ぽつりと呟いた龍のそれに、俺は気付くこともなく。
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時