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軍警の前を通り過ぎると、この街ではよく見かける指名手配犯のポスターが貼ってある。
相も変わらず、この街は平和そうに見えて街の暗部は物騒らしい。
ポートマフィアだとか、麻薬密売組織だとか、色んな物騒な組織が跋扈しているこの街は、何というか物騒慣れしている人間が多いなというのは住んでから分かったことである。
否、其れは慣れちゃいけない事じゃね?とは思いつつも、慣れちゃう位に色んなことがあるのだろう。慣れって怖いね。
今日の授業も終わり、其の儘家に帰るのも勿体無いなと思って、港で海を見ながらぼんやりとしていた。
電話等では元気にしている家族達の顔が見たいなと時折ホームシックになる事がある。次に帰れるのは何時だろうか。
「何してるの、渡瀬君」
ぼんやりとしていたところに後ろから聞き覚えのある声がして振り向くと、太宰君とその後ろに控えめに立っている少年が居た。
「太宰君……」
「……この辺りは偶にマフィアが居たりするんだよ。もう夕刻だ。何があるか分からないから、暗くなる前に帰ると良い」
「へえ、そうなんだ。じゃあ早く帰らないと怖いな」
「ポートマフィア、なんていう位だからねえ」
直訳すると港のマフィア、だもんな。
確かに太宰君のいう通り此処は早めに退散した方が良さそうだと思う。
何で太宰君は此処にいるのかはよくわからないし、追求する気もない。だが太宰君の後ろに控えている子の咳の仕方がどうにも気になる。
咳の仕方からして、恐らくは肺を病んでいる子なのだろう。
「後ろの子、肺が悪いんでしょ。あと何処か怪我してるんじゃないの。太宰君の後輩なのかその辺は知らないけど、この辺危ないなら太宰君も後ろの子も早く帰りなよ」
太宰君も、後ろの子もぱちりと目を丸くする。
「…どうしてそう思うんだい」
「咳の仕方で何となくね。後輩か友人かは知らないけど、あんま連れ回しちゃダメだよ」
どう見ても病弱なその子と、太宰君の横を通り過ぎる時に太宰君は「目敏いね」と云った。
「寄り道せずに帰るんだよ」
にこりと笑う、何処か太宰君の真意が見えない笑顔に少し怖くなるが、勿論とだけ返して俺はその場を後にした。
後々に知る事になるが、あの咳が肺を病んでいるだけのものではなく、太宰君に折檻をされていた後によるものだという事は、俺がこの目で見る事になった。
××××
ふ、雰囲気がゆるくない…
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零 - 未だに太宰のSSRが来ない😭(やり始めて1年半です) (3月4日 6時) (レス) @page38 id: 384173ed73 (このIDを非表示/違反報告)
安息香酸 - コメント失礼します。もし良かったら番外編のパスワード教えて頂きたいです! (9月8日 14時) (レス) id: 7f39e79d81 (このIDを非表示/違反報告)
おしとう(プロフ) - ミナさん» コメント失礼致します。もし可能でしたら番外編のパスワード教えていただきたいです!! (2023年3月4日 21時) (レス) id: b3cffe0f1c (このIDを非表示/違反報告)
ミナ - 番外編のパスワードを教えてもらいたいです! (2022年3月12日 18時) (レス) id: edad4e8a78 (このIDを非表示/違反報告)
ama846(プロフ) - コメント失礼します。もしよろしければ番外編のパスワードを教えて頂けませんか? (2021年12月19日 21時) (レス) id: bfb29f0477 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年9月28日 16時