23.背負うもの ページ25
「許可って…、まさか、羽場二三一か!」
インカム越しに突然下りた降谷からの許可に、一瞬何かと頭を巡らせれば、結論はすぐだった。
『ビンゴ。今現在でのゼロの指揮権限、及び命令権限は全部お前にあるんだ。手を回してくれ。』
「何をするつもりなんだ君は」
『今夜一度限り、羽場二三一という人間を蘇らせる。彼はこの事件と、因縁の全ての中心だ。
─────死んだ人間が切り札になる。死んだ人間を、蘇らせるんだ』
「……君ってやつは相変わらずだな」
『今更だろう?そんな上司の無茶ぶりに、お前は今まで全部期待以上のことをしてくれただろう』
「……OK。そう言われてはやるしかない。貴方の許可と命令が下りたのなら、ご随意に」
フッ、と降谷が笑ったのがインカムから聞こえたあと、スマホの方にメールが入る。
羽場二三一の居場所と、そこの指定された住所に彼を送り届ける様に手を回せという文面。
それを部下に伝えた。このメール本文を送る形で送信し、羽場二三一と、送迎は部下任せることにする。
羽場二三一。
NAZU不正アクセス事件による事件がきっかけで、絡まり合った因果により、窃盗事件を起こした後に逮捕された男だった。
そして、この騒動の犯人である人間の、協力者であった人間。
羽場二三一としての生を放棄させることで、───全ての情報を隠蔽させたのだ。
我々ゼロが感知していなかった協力者という存在と、もう二度と、協力者などというものを作らぬ様にする為に。
死んだと思われていた人間が生きていた、なんて、きっと本の中ではテンプレで。
(……それでも、それが現実だったら、きっと凄まじいショックなのだろう)
生きていた、なんて。
脳裏に浮かぶは、かつての同期たち。
爆処理のエースだった2人は、2人とも爆発に巻き込まれて死んだ。
兄の様だとすら思っていた伊達は、事故に巻き込まれて亡くなった。
……そして、────あいつは、
唇を噛みしめる。
誰も生きていない。死んだんだ。そうだ。居なくなってしまったんだ。
生きているはずなんて、ないのに。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←22.裁定者
859人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
茶 - 遥さんの作品本当に大好きです!続き楽しみにしています! (2018年7月12日 17時) (レス) id: 5947186a26 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます。原作沿いは話は実を言うとあるんですが、シリーズに区切りのいいところで今現在連載してる続編で完結させようかなと思ってます。 (2018年4月28日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 読ませてもらってます!これを見て、原作沿いでやっても面白いんではないか、と思っているこの頃です。 (2018年4月26日 23時) (レス) id: d835bf4d9c (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ワカメさん» →なと思ってます( ˘ω˘ ) 日本を守ることしか多分今のところは頭に無いから、本当の恋人とか作る予定は当面なさそうな人だな〜とは思ってますwそんなところも素敵な降谷さん…… ありがとうございます!頑張ります〜! (2018年4月23日 16時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
遥(プロフ) - ワカメさん» コメントありがとうございます!降谷さんにとっては国というものは多分何よりも守るべきものであり、恋人のように愛おしい存在で、「僕の日本から出て行け」みたいな台詞も合わさって考えると、『自分の』守るべきものって感じがひしひしと伝わってくるからカッコいい→ (2018年4月23日 16時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:遥 | 作成日時:2018年4月21日 21時