俺だけの共犯者【ゼロの執行人】

12.Executor and Arbiter 2 ページ14

「それに間違いはないんだな？」

ゼロに戻って来て早々、部下達が報告しに来たのは、ノーアの匿名性解除の調査報告。
その報告書を見た時、正直驚いた。だが、それに納得もする。頭の隅で霞みがかっていた違和感のパズルが、どんどん当てはまっていくのを感じた。

「はい。ノーアユーザーを追跡をするシステムがNAZUで完成されていました。
その原因となった事件が、『NAZU不正アクセス事件』です」

NAZU──アメリカにある、誰もが一度は聞いたことのある、宇宙開発局の名前だ。
ノーアユーザー追跡システムの完成には、去年起こった、日本人が、NAZUに不正アクセスをした事件、それが原因だった。ノーアを使った不正アクセス事件でもある。
ノーアに関する違和感はコレだったのかとスッキリした。つまりは、このシステムがあれば犯人に繋がるかもしれない。

「流石はNAZUと言ったところか。このシステムがあれば追跡は可能だろうが、確かNAZUは近日、『はくちょう』を太平洋に着水させるミッションがあったはずだな」

──火星へ向かっていた無人探査機『はくちょう』。
火星への採取を終え、それが来たる5/1に帰ってくる予定だ。世界中が注目する無人探査機の着水のミッションに、NAZU側からしたら当然、失敗は許されない。
NAZU側に要請しようにも、5/1以降でないと無理なのだろう。

「ええ。解析と追跡の依頼をしようにも、せめてそのミッションが終えるまでは無理そうです。それに警視庁に至っては、その日とサミットが重なっているため、動こうにも人員が足りていない状態ですね」

「どのみち今の所は動こうにも動けないわけだな…
だが、良くやってくれた。この捜査結果は私から降谷警視に伝えておく。後の指示も降谷警視に任せるから、引き続き作業を頼むぞ」

「はい！」

部下が下がったのを見計らって、降谷に電話をかけた。
存外早くに電話に出た降谷の電話越しに雨音が聞こえる。
雨音の感じだと、降谷は今現在、外にいるようだ。

『どうした』

「ゼロが掴んだ情報を伝える。後の判断は君に任せたほうがいいと思ってな。」

『わかった、言え』

「ノーアユーザー追跡システムがあるのが捜査結果で判明した。
────そのシステムが完成されているのがNAZUだ」

『………何？』

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