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時折傍にいる俺でも勘違いしそうになる程に可愛い笑顔を見せることがある。
その笑顔で、何人か恋をしていると言う噂だ。
「あ、A先輩少しいいですか？」
「ん〜？何ー？」
後輩に呼ばれてAは俺から離れていく。
傍にあった温もりが消えて寂しいと思ってしまう。
俺とよく行動して話すようになってからAはよく同級生や後輩に話しかけられることが増えた。
それはいい事だ。
だが、たまにその様子を見ていると苦しくなる。
さっきAが呼ばれた時も、腕を掴みかけた。
もう、よそ見は出来ない領域なのかもしれない。
ふとAを見ると楽しげに後輩と話をしている。
俺は深い溜息をついた。
そして出来るだけ自然に、友達がやるように、彼の肩を抱き寄せる。
「悪いな。今部活中なんだ。後にしてくれるか。」
「あっ、ごめんなさい！もう大丈夫なので！ありがとうございました！」
後輩は嬉しそうに走って行く。
俺のこの気持ちは伝わっていないようだ。
ほんの少しだけ、肩を抱く力を強める。
「…マウント？」
「何の話だ？ほら部活の続き。」
「今まであんな事して来なかった…っ？！」
「…お前の隣にいるのは誰だ。」
華奢な彼の腰を強く抱き寄せて耳元で囁く。
誰も見ていない。
ルークも別の所を見ている。
Aは驚いて俺の耳元で熱い息を漏らす。
もう一度問いかける。
「…お前の隣にいるのは誰だ？」
「…と、れい…。」
「よく出来ました。」
頭を撫でて彼の手を引く。
いつからこんな醜い独占欲なんて持ち始めたのか。
それは知らないけどこんな気持ちも良いものだと少し思う。
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作者名：柳雪 | 作成日時：2020年6月7日 11時
