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マウント ページ6

「A、今日は部活だぞ。」




「え、そうだったっけ。え〜トレイとイチャつけると思ったのに…。」




「こら、そう言う冗談はやめろ。さっさと行くぞ。」




「えーん、トレイが冷たいよう。」









 へらへらといつもの調子で笑うAを廊下で待つ。





 すると直ぐに腕を嬉しそうに掴んだ。








 つくづくこいつにはパーソナルスペースが無いのかと思ってしまう。





 だがそれを許している俺も俺だ。








 軽く息をついてAと植物園へ向かった。









「そう言えばトレイは今イチゴ育ててるんだっけ。」




「ああ、タルト用にな。結構いい感じに育ってるぞ。」




「そっかぁ。トレイのタルトがまた美味しくなるなぁ。」









 嬉しそうに笑う彼は俺の手を握る。





 こんなに近付いても彼が男か女か分からない。





 俺の手を握る彼の手は小さく華奢。








 体も小さくて細い。





 それでもどこか男の雰囲気がある。





 性別不詳と言ってもいいのだろうがナイトレイブンカレッジは男子校だ。








 女子が迷い込んで来ることは無いはずだが監督生が迷い込んで来た。





 万が一、と言うこともある。









「そう言えばお前は何育ててたんだ?」




「僕はねー多肉植物に食虫植物、バラも育ててるしブルーベリーも育ててるかな。」




「多いな……。そんなに面倒みられるのか?」





「まあ何とかなってるから大丈夫なんじゃない?」









 相変わらずお気楽だ。





 だが植物園に来て、彼の言う通りなんとかなっていることを知る。








 どの植物も綺麗な花を咲かせていたり美味しそうな実を生らせていた。





 やはりAの才能は底知れない。









「このブルーベリー香りが強いな。クリームチーズケーキに使えそうだ。」




「うんー。また今度一緒に作ろ?」




「そうだな、俺のイチゴも順調だし。いいタルトが出来そうだな。」









 うんと頷く彼を見ていると、出会った頃よりずっと丸くなった気がする。





 雰囲気も柔らかくよく笑うようになった。

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作者名:柳雪 | 作成日時:2020年6月7日 11時

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