【トレイ】一緒に薔薇を塗ってケーキを作ろう【ツイステ】 (ページ35)

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「え、別に何も……。」

「泣いてるよ、Aちゃん。」

「……ホントだ。」

「この前から気になってたんだよね。トレイくんじゃなくて俺の所によく来るの。何かあった？」

　優しく声を掛けてくれるケイトに僕は涙を溢れさせた。

　ケイトは僕の頭を優しく撫でてくれる。

　ケイトに連れられて中庭のベンチで事情を話した。

　ずっと本当は悲しくて仕方なかったから。

「そっかぁ、それは辛かったね。全くトレイくんもこんな可愛い子を泣かせるなんて罪だよ！」

「……何も考えずに声掛けた僕も悪いから。」

「いーや、トレイくんが明らかに悪い！疲れてるとはいえそんな言い方ないじゃん。」

　ぐすぐすと鼻を啜る僕の頭を撫でながらむくれていた。

　僕のために怒ってくれる人がトレイ以外にもいたなんて。

　それが嬉しくて少し笑った。

「あ、やっと笑った。やっぱりAちゃんは笑ってないとね〜！」

「ありがとう、ケイト。」

　涙を拭って笑いかけるとケイトも満足そうに笑う。

　その時強い力で抱き寄せられた。

　僕は驚いて後ろを見るとトレイが怒った表情でケイトを見ている。

「……どういうつもりだケイト。」

「やだなトレイくん。Aちゃんの相談に乗ってただけだよ。Aちゃんを悲しませた元凶に怒られたくはないな〜？」

「……どういう事だ、A。俺、何かお前にしたか？」

　悲しげに僕の肩を掴んで聞いてくるトレイにこの前の事を話す。

　するとトレイは深い溜息をついて僕を抱き締めた。

「ごめん……疲れてたとはいえそんな事言ってたなんて……。」

「もう、いいよ……過ぎた事だし……。」

「ケイトも悪かった。」

「んーん、気にしてないよ！恋人が他の男と一緒にいるの見て心配になるのわかるからね！」

　その後はちゃんと仲直りをしてふたりでお菓子を作った。

　ケイトにはお礼としてピリ辛キッシュを作ったら気に入ったようでまた作ってと頼まれてしまった。