甘え方 ページ28
.
.
.
このお話はAさんが年上の設定になります。
--------ｷﾘﾄﾘ線--------
ホリデーで実家に帰って来た俺は久しぶりに店の仕事を手伝っていた。
今日は定休日で久々に街を歩いている。
あまり変わってない街を歩きながら近くの喫茶店にでも寄ろうかと思った時。
「あれ、トレイ？久しぶり！すっかり大きくなったね。」
「…Aさん？お久しぶりです。Aさんも変わらず元気そうで良かった。」
Aさんは近所に住んでいる5歳上の女性。うちの店の常連でもある。
気さくな人で俺が子供の頃はよく遊んでもらった。
「あ、久しぶりに家来ない？丁度フルーツタルト作ってあるからさ、食べて欲しいな。」
「Aさんがいいなら。久しぶりにAさんのタルト食べられて嬉しいです。」
小さな頃、よく彼女の家で遊ばせてもらっていた。
彼女の両親もお菓子作りが好きで食べさせてもらったりしていた記憶がある。
ケーキ屋をしているうちにはさすがに劣るが普通に美味しかった。
「少し散らかってるけど。用意するから少し待ってて。」
「…はい。」
学園では大人っぽいなんて言われてても、俺だって男子高生だ。
小さな頃から好きだった人の家に来て緊張しないわけがない。
「そう言えば、ご両親は？」
「…2年前に亡くなったよ。事故でね。」
「すみません、辛いこと思い出させて…。」
「ううん、大丈夫。はい、タルトと紅茶。食べてみて。キミの家には劣るだろうけどさ。」
嬉しそうに笑って俺の前に皿を置く。
俺はいただきますと言って1口食べる。
タルト生地は少し焼きすぎて固い。
やっぱり俺の家よりまだまだだけど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柳雪 | 作成日時：2020年6月7日 11時
