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「上の空だけどどうかした?」
「…A、こっち来てくれるか。」
「ん…?何…?」
不思議そうにこちらに寄ってきたAを抱き寄せて首筋に顔を埋める。
俺以外の男の匂いがするのがどうにも腹が立つ。
「んっ…くすぐったい…トレイ?」
「悪い。…俺以外の男の匂いが嫌なんだ。」
「ち、ちょっと待って、こんな所見られたら…!」
「別にいいだろ?お前が女だってバレるわけじゃないしさ。」
首筋にキスを落としているとAは熱い息を漏らす。
目に涙を溜めてこちらを見るためたまに我慢出来なくなりそうになる。
こいつは本当にずるい奴だと思う。
「…こんなに嫉妬してもお前は嫌わないのか?」
「別に…浮気とか酷いことしない限り嫌いにならないと思う。嫉妬くらいじゃ、嫌いにはならないよ。」
「優しいな、お前は。」
「違う。キミが優しすぎるだけ。」
Aは優しく笑うと俺の頬を優しく撫でた。
そんな彼女に唇を重ね、また首筋に唇を落とす。
そして赤い跡を残した。
「…メイクはいいけど、香水はやめて欲しいな。」
「分かったよ…。」
「さて、そろそろ焼き上がるな。出来たらヴィルに持って行ってやるか。」
「え、ポムフィオーレに行くの…?」
「お前を可愛くしてくれたからな。ちょっとしたお礼だよ。」
Aに笑いかけると彼女は溜息をついた。
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作者名:柳雪 | 作成日時:2020年6月7日 11時