嫉妬と感謝 ページ14
とある日の休日。
その日はいつあるか分からない『なんでもない日』のパーティーに出すためのケーキを考えていた。
朝からずっと自室に篭もっていたがさすがに体が固まっている。
体を伸ばして立ち上がり部屋を出た。
すると部屋の前にAがいて少しだけびっくりする。
「A、いたのか。朝来ないからどうしたのかと思ってたんだ。」
「あー…行こうとしたんだけどね。」
「ん、お前メイクしてるのか？珍しいな。」
「ああ…朝ヴィルに捕まったんだよ。そんなに可愛いのにメイクしないなんて信じられないって。」
嫌な顔をして溜息をつく。
ヴィルはポムフィオーレ寮の寮長でAを気に入ってる奴だ。
Aも嫌な顔をしているが拒絶をしてない辺り嫌いではないのだろう。
それにしてもメイクをしたAはいつもより可愛らしく見える。
「まあいいじゃないか。可愛いよ。」
「…可愛いならいいけどさ。」
「可愛い可愛い。これからお菓子作りに行くんだが一緒にどうだ？」
「行くけど可愛いが嘘っぽいの何？」
不機嫌そうな表情で見る彼女の頭を笑いながら撫でる。
少し不服そうだが俺の手を掴んで歩き出す。
すると前を歩くAからいつもと違う香りがする。
化粧品の匂いだろうか。
いや、化粧品とは違う男物の香水のような匂い。
「…いつもと違う匂いするな。」
「ヴィルに香水かけられた。嫌いな匂いじゃないから文句は言わなかったけどさ。」
「そうか。可愛がられてていいな。」
胸が、苦しくなる。
この気持ちが嫉妬なんだと言うことはすぐに分かった。
俺の恋人ではあるが俺だけのものでは無い。
それでも俺以外の男の匂いをさせているのは、嫉妬せざるを得なかった。
キッチンに着いてからも彼女の事が気になってあまり集中出来ない。
そんな中お菓子を作って焼き上がるのを待つ間。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 25人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柳雪 | 作成日時：2020年6月7日 11時
