２０話 ページ21
行列が出来ているしあわせの蜂蜜ケーキの
店の横を一人歩く祐君の姿があった
並んでいる人々の賑やかな声が聞こえて来る
祐は看板の“しあわせ”の部分を視線でなぞった
☏ミコト「もしもしお母さん？
結果出たんだけどちょっとややこしい
話だから会って話した方がいいと思ってだ…」
ミコトは店の横に居る祐を見つけた
不思議に思って見ていると
石を手に取り店の窓ガラス目掛けて投げ付けた
大きな硝子の割れる音に驚き悲鳴を上げる客達
祐はあたりを見渡すと走って逃げて行った
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佐野祐斗さんが勤めていた工場の応接間には
工場長と夏代の姿があった
夏代「亡くなった佐野さんの
携帯にメールが届きました昨晩の事です」
ファイルから一枚の書類を取り出し
ローテーブルの上へと置いた
夏代「フリーアドレスで差出人は
不明ですが工場でサービス残業が
当たり前に行われていたと書かれています」
工場長の彼も書類に目を通す
松永「誰かのイタズラです」
事務員の人がお茶出しをして扉を出ると
扉の前には中の話を伺う従業員が一人
夏代「従業員の告発です
タイムカードに退勤の打刻をして再び
製造ラインに戻るこれじゃあ勤怠管理が
なされていないのも同じです」
恐らく扉越しに話を聞く彼が
昨晩のメールを送ったのだろう
熱心に耳を傾けている
夏代「過重労働の事実はあった
会社に尽くした佐野さんとご家族の為に
本当の事を言って下さい
従業員を守るのが工場長の務めでしょう」
今まで黙って聞いていた
松永は痺れを切らし立ち上がった
松永「私だって自分の家族を守るので
精一杯なんだ！これ以上どうしろと…」
言い終わる前に松永は倒れた
夏代「松永さん！？松永さん！松永さん！」
課長「工場長！」
夏代と課長が体を揺するが反応がない
直ぐに救急車で運ばれた
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作者名：はな | 作成日時：2018年2月21日 15時
