１９話 ページ20
五階研究フロアでは
顕微鏡を熱心に覗く二名の臨床検査技師と
アルバイトの会話が繰り広げられていた
久部「真嶋さん、東海林さん」
キャスター付きの椅子で近付きながら
名前を呼ぶ久部に
顕微鏡から視線を逸らす事なく答える二人
真嶋・東海林「「うん？」」
久部「あの…女の人が部屋に
男を誘う時どんな心境なんですか？」
東海林「その人の事が好き」
久部の背筋が分かりやすく伸びる
真嶋「または全く意識してないか」
瞬きをして一瞬フリーズした後
小声で二人に返事する
久部「大違いっすね」
真嶋・東海林「「大違いだね」」
久部「何か…秋ちゃんって知ってます？
三澄さんの知り合いらしいんですけど
で、俺その人に似てるらしいんですけど」
東海林「あっあれだ！元カレ」
久部「ふ〜ん元カレか…そっちかマジか」
さっきまで興味津々で聞いてきたのに
東海林のイタズラに振り回され落ち込む
久部の姿が何だか面白くて真嶋も口裏を合わせた
三澄「東海林〜脳の動脈瘤
結局見つからなかった」
東海林「見つからないだろうね〜」
三澄「お疲れ」
久部「お疲れ様です」
東海林「これ見て」
真嶋は三澄の為に椅子を開けた
その椅子に座った三澄は顕微鏡を覗く
久部「佐野さんの椎骨動脈の組織ですよね」
真嶋「ホルマリン固定した物を
スライスしてプレパラーにして観察してる」
三澄「これ動脈裂けてる」
東海林「イエス！」
真嶋「つまり外傷」
三澄「外傷という事は…事故が起きた時の
衝撃でくも膜下出血を起こした病死ではなく」
真嶋・三澄・東海林・久部
「「「「事故死！」」」」
全員が人差し指を立ててそう言い放った
東海林「そうなんだけど」
三澄「ど？」
真嶋「時期がおかしい…」
三澄「時期？」
真嶋・東海林「「うん」」
三澄はもう一度裂けた動脈を見た
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作者名：はな | 作成日時：2018年2月21日 15時
