檸檬のカオリ、私のヒカリ１

８話 ページ9

UDIラボの建物の外には一台の黒い車の姿が

フォレスト葬儀社の車から出される棺
車内に置かれるラミネート加工の紙には
───────────────────────
NO.６
西武蔵野研究センター
駐車許可証
所属 フォレスト葬儀社
許可番号 2009485992
車両番号 多摩 800 お 1993
───────────────────────
建物内に入り一礼してから
警備員に向かって男は言う

木林「フォレスト葬儀社です」

そのまま解剖室に入り棺を開けた

そのまま中をのぞき込む
真嶋・三澄・東海林・久部・神倉・木林

葬儀社の男は冷静にご遺体の様子を報告する

木林「死後10日、保存状態が芳しくなく
かなり熟しておられます」

神倉「急いだ方がいいと思うんで
立て続けで申し訳ないですけどお願いします。
どちらが担当します？中堂班か三澄班か」

問いかけられた三澄が中堂の顔を見た後
東海林の顔を見ると
彼女はあからさまに嫌だという顔をした

無言で解剖室を出て行く中堂
そんな彼を三澄は追う

三澄「じゃあ…ジャンケンで
あみだくじ、サイコロ振りましょうか？
分かりましたコイントスで」

脱いだ靴下を投げ捨てながら

中堂「そのクソみてえな提案
いつまで続くんだ！？」

真嶋「中堂さん
物の言い方には気を付けて下さいって
何度言ったら分かるんですか」

三澄「私はただ公平に決めたらどうかと」

中堂「『公平』便利な言葉だな
ジャンケンでも貧乏くじでも引いてやるよ
俺に実績で並んだら公平にな！」

久部「実績？」

神倉「解剖の経験数、中堂さんは3000件超」

久部「三澄さんは？」

三澄「1500、すいません 並ぶ気配もなくて」

神倉「いやいやいや
三澄さんもその年にしてはすごいよ」

東海林「ですよね
数が多くても適当じゃ意味ないし」

真嶋「大事なのは数よりも中身だよ
私も三澄班に協力するから
…中堂さんの事は責めないであげてね」

三澄「いいです、いいです黙って経験を積みます
三人ともお昼抜きで付き合わせてごめんね」

木林「あの！ ご遺体は お任せしても？」

三澄「はい すいません お待たせして」

９話→←７話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す