-- ページ33
お「弟者くん、遊び相手ができてすごく喜んでてね。2人ともお互いのことが大好きだったから…もしかしたら君なら弟者くんを戻せるかもって期待してた。まさか本当に戻してくれるなんて、本当にありがとう。感謝してもしきれないよ」
おついちさんは話を終えると、私を見てふにゃりと微笑んだ。
お「長話に付き合わせちゃってごめんね」
「いえ…私の知らない弟者のことをたくさん知れたので、聞けて良かったです」
お「それなら良かった。よし、弟者くんのところに戻ろうか」
「はい!」
私の元気な返事にまた微笑むと、私を弟者の元へ連れて行くと、王様に連絡をすると言って部屋を出て行った。
部屋に残されたのは私と弟者。オオカミの時もかっこよかったが、人間の姿に戻ると本当に王子様という言葉がぴったりで、目を合わせるだけで照れてしまった。
弟「A…ありがとう、俺を人間に戻してくれて。ずっと言いたかったんだ、君のことが大好きだって。」
知っていた。言葉がなくても伝わってきていた。弟者が私のことを好きだっていう気持ちは。
「私も…ずっと好きだって言いたかったよ、弟者」
弟「はは、知ってるよ!俺たちずっと両思いだったもんね」
私たちは長年言葉にできなかった思いをようやく伝えることができ、2人で笑い合った。
-----
しばらくするとおついちさんの押す車椅子に乗っておばあちゃんが来て、王様もいらっしゃった。
弟「兄者!!兄者だ!!」
兄「わっ、お前怪我してんだろ?!…ったく。でも戻って良かった、本当に…」
2人はおついちさんも巻き込んで、久々の再会を喜び合っていた。
そして王様は私の方を見ると、深々と頭を下げた。
兄「弟を戻してくれて本当にありがとう。褒美ならいくらでも出す、欲しいものがあればなんでも言ってくれ」
「頭を上げてください…!あと褒美なんて、私は弟者と一緒にいられれば、それで…」
私の言葉で頭を上げた王様は、柔らかく微笑んだ。
兄「もちろん君…Aと言ったか。Aを弟者の妻として迎えよう。但し王様はナシだ。兄者って呼べよ?」
とても嬉しいが、王様を兄者さんと呼ぶ練習をしなければならないようだ…
-----
行方不明の王子様が婚約者を連れて戻ったと国民は大騒ぎ。
色々と忙しかったが、国中の人にお祝いされながら結婚式を迎えることができた。
弟「これからもよろしくな、A」
「もちろん、よろしくね弟者」
私の頭には赤い頭巾ではなく、純白のヴェールが被せられていた。
終わり ログインすれば
この作者の新作が読める(完全無料)
←--
110人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:shirö | 作成日時:2018年7月9日 23時