第2話 違法身体改造 ページ3
「あ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッッッ...?!」
激痛。
いや、はっきり言って言葉で表せるものじゃあなかった。
折れて陥没している鼻骨が潰れた肉共々に元の形へと戻ろうとしている。
つまり簡単に言えば傷ついた体が再生しようとしてるのだ。
当の本人はそんなことに気が回っている余裕などなく、ただ、とんでもない激痛が襲い意識が飛びかけているだけだった。
身体を弓形に仰け反らせながら不規則な呼吸と喘ぎ声を漏らす。
「...やはりね。あんなモノ、人間が手を出すべきものじゃなかったんだよ」
助けるわけでもなく、淡々とした様子で呟く。
「だからって俺等が死ぬ気で奪い取ったモノを何処の馬の骨やも知れねぇグズに使うバカがいるか!!」
相手の言葉に激昂するように怒鳴り散らす。
「こんな馬鹿げた薬、君達の体内に入れさせてたまるか。」
「____普通の人間が死なないようにする薬なんて。」
すっと目を細め見つめた先には先程まで血だらけで顔面の形が朧気になっていた青年が
ひどく弱々しい呼吸をしながらも、その顔は何事も無かったように治っている。
「本当にこれじゃバケモノだ。いや、不完全で哀れなバケモノと言うべきか。」
「...生きるために治して死にかける、何て不完全にも程があるわな」
そのバケモノにしてしまったのは私なんだけど、とボソリとつぶやく緑目。
それを不服そうながらも鼻を鳴らし無視する青目。
その目には哀れみこそあれど同情の念はない。
激痛により疲弊しきった青年は震える手を僅かに伸ばす。
そういえばあの時にはもう使い物にならないくらいへし折れていた腕が元通りになっている。
そんなこと気にする余地もない青年の目には二人の姿しか映ってなかった。
すると不意に緑目が酷く淀んだ液体の入った瓶を顔の前に差し出してくる。
「ほら飲みなよ、さすがにきついでしょ」
突然のことに唖然とするも青年は瓶を受け取ってはその液体を喉に通す。
酷い匂い、不快感を煽る味に吐き気を覚えながらも喉にねじ込む。
「まぁそれ下水から拾ってきたんだけど」
悪びれのない笑顔で告げられる。
酷いめまいに襲われた。
また俺の意識は飛んでしまった______
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作者名:厄病屋 | 作成日時:2017年9月20日 1時