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水族館に行った日から約1ヶ月が経った。
あれから私のデスクの上にはサングラスをかけたアザラシが乗っていて、私と先輩で可愛がっている。
兄弟宅で4人でご飯を食べたり、兄者さんが昔のようにバイクで買い物などに連れて行ってくれたりすることもあり、充実した日々を過ごしている。
今日はいつもより早く出社すると、おついち先輩だけが来ていた。
先輩はいつも一番乗りで、音楽を聴いてリラックスしているらしい。
「おはようございます」
私は先輩の肩をぽんと叩き、口パクで挨拶をする。先輩はヘッドホンを外してにこっと笑った。
お「おはようAちゃん。あ、君もコーヒー飲む?そろそろ買いに行こうかと思ってたんだけど」
「あ、それなら私が買ってきますよ。先輩は座っててください」
立ち上がろうとした先輩を止め、同じ階の休憩室でコーヒーを2本買って戻る。
お「ごめんね、ありがとう」
「いえ、いつもお世話になってるんですから!これくらいさせてください」
私はコーヒーを一口飲み、"兄者さん"を撫でた。出社後のこれはもはや日課になってきている。
お「その後、兄者とはどう?たまに一緒に買い物とか行ってるみたいだけど」
「はい、仲良くさせていただいてます。バイクの後ろに乗せてもらうこともあるんですけど、なんだか高校生の頃に戻ったみたいで、嬉しいような恥ずかしいような…」
お「いいじゃない!兄者、僕らだったら絶対後ろ乗せてくんないからね?むしろ車を運転させられるよ…」
そんな兄者さんの姿は容易に想像でき、少し呆れた顔をした先輩と目が合って2人して笑ってしまった。
お「あっ、そうだ。今週の木曜日、兄弟とお昼ご飯行こうって話になってるんだけどAちゃんも来ない?弟者くんが『A不足!兄者ばっかずるい!』ってぶーぶー言ってたよ」
「皆さんがいいなら、行きたいです!お昼一緒なんて珍しいし」
お「もちろんいいよ!じゃあ2人にも伝えとくね。」
私は嬉しくてまた"兄者さん"を撫でた。
するとその瞬間、ふと誰かに見られているような視線を感じた。隣にいるおついち先輩のものではなく、後ろの方から。
私は後ろを振り返ったが、そこには誰もいなかった。
お「Aちゃん?どうかした?」
「ちょっと誰かに見られているような気がして…でも誰もいないし、多分気のせいだと思うんですけど」
お「そっか…ねえAちゃん、何かあったらすぐ僕に言って。絶対に。」
そう言った先輩はとても真剣な顔をしていた。
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スネゾカペ - 完結((´;ω;`))とってもいいお話でした...!苺さんの新作まってます(書ける時間があればの話ですが...) (2018年8月7日 9時) (レス) id: 0af73918fb (このIDを非表示/違反報告)
苺。(プロフ) - スネゾカペさん» ありがとうございます( ´ω` )/本編は終わりましたが、また別のお話でもよろしくお願い致します! (2018年8月7日 1時) (レス) id: bced30bcc8 (このIDを非表示/違反報告)
スネゾカペ - 更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年8月6日 1時) (レス) id: 0af73918fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺。 | 作成日時:2018年7月9日 8時