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[おついちside]
兄者とAちゃんを送り出して数分、兄者が車に戻ってきた。
お「おかえり兄者」
兄「ん、お待たせおっつん」
お「じゃあスーパー行こ。…で、買いたいものってなんなの?」
兄「…忘れた」
やっぱりAちゃんを送りたかっただけなのね。まったくもぉ、可愛いんだから2人とも。
お「…夕飯は兄者の好きなものにしよっか、ピザ以外ね」
兄者は少し考えて「ハンバーグがいい」と答えた。
お「はーい。あー、月曜日Aちゃんに会うのが楽しみだなーっ」
ふざけてそう言ってみると、兄者はわかりやすく拗ねた顔をした。
お「ふふ、冗談だよ」
これは面白くなりそうだ。
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[兄者side]
久しぶりに会ったA。高校生だった頃、といっても俺が最後に会ったのは2人が高1の時だったが。あの頃はまだあどけなさが残る可愛さであったが、大人になってさらに可愛く、そして美人になっていた。寝顔だけじゃ気づかないくらいに。
俺がもう30代なのだ、そりゃあいつも変わるよな。会わなくなってもう10年程経つし。
お互い、忘れててもおかしくなかった。でも俺はAのことを忘れたことはなかったし、Aも俺のことを覚えてくれていた。
俺はAのことが好きだった。あの雨の日に、雨の中走っているあいつに一目惚れをしたのだ。弟者の同級生だと知った時は運命だと思った。
バイクの後ろに乗っけて色んなところに連れて行ったりしたのが懐かしい。帰りはいつもさっきみたいに頭を撫でていた。
今でも鮮明に覚えている、Aと弟者との思い出。
でも俺は大学生で、就活、卒論などやることが多すぎて家に帰るのは夜遅く。Aとは会えなくなってしまい、そのまま俺は就職。さらに忙しくなったと思ったら次の年に2人は卒業。
Aは携帯を持っていなかったし、大学も少し遠くらしく、連絡することができなかった。
俺の密かな恋は終わってしまったんだな。そう思いながらもどこかで諦められない俺がいて。職場でかなり人気があるという自覚はあったが、俺は全ての誘いを断り続けていた。
ずっと、心の奥の方でAのことを想っていた。
そしたらお前、突然現れるんだもん。ビックリするわ。
スーパーからの帰り、俺はずっとそんなことを考えていた。
兄「ただいま」
弟「2人ともおかえり!」
俺はニコニコ笑う弟者に感謝した。お前のおかげでまたAに会えた。
弟「夕飯なに?」
お「ハンバーグだよ」
弟「やったー!」
ふっ…子供かお前は。
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スネゾカペ - 完結((´;ω;`))とってもいいお話でした...!苺さんの新作まってます(書ける時間があればの話ですが...) (2018年8月7日 9時) (レス) id: 0af73918fb (このIDを非表示/違反報告)
苺。(プロフ) - スネゾカペさん» ありがとうございます( ´ω` )/本編は終わりましたが、また別のお話でもよろしくお願い致します! (2018年8月7日 1時) (レス) id: bced30bcc8 (このIDを非表示/違反報告)
スネゾカペ - 更新楽しみにしてます(^ ^) (2018年8月6日 1時) (レス) id: 0af73918fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:苺。 | 作成日時:2018年7月9日 8時