猛毒*50* ページ8
「A…!助かった!」
「悪い、気付くのが遅れた…!」
『大丈夫。二人はそれしっかり着けといて』
シャチとペンギンは口元に着けられたそれに手を当て、首を傾げていた。
「なぁ、何だこれ」
「何でこんなもの…」
二人がそう聞いた瞬間にまた飛んでくる暗器。
私はそれを取り出したレイピアで弾く。
段々と近づいてくる人の気配。恐らく4…5人。そこそこ強そうだ。
『…まずいね』
霧の奥から次々に飛んでくる武器達。
肌で感じる。掠ったら終わりだと。
カキン、カキンと甲高い音を鳴らしながら、後ろの二人にも当たらない様に弾いていく。
すると目の前の霧に人影が現れ、それが近付いてくる。
目の前まで迫った時、ようやくハッキリとした姿を捉えることが出来た。
「…やるじゃねェか、姉ちゃん」
見るからに剛腕そうな悪人面の巨漢に、下卑た笑みを浮かべる四人の男達。
暗器使いに、ピストルを持った男。後の二人はドデカイ斧と双剣。
見聞色で感じた通り、そこそこ強そうだけど、私なら問題なく倒せる。
今は、無理だけど。
『あんた達、海賊?』
剣の切っ先を巨漢に向けて構える。アイツはかなり強そうだ。
「あァ…海賊さ。この島は俺達のナワバリだ!踏み入れば殺.すぞ」
『ナワバリね…』
見聞色を強めて、もっと広い範囲の気配を探る。
『……島の中心にある街ごと、この霧で囲って脅しているのね』
「…ヘッ、バレたか」
島の中心に集まっている人の微かな気配。そこだけ霧は発生してない。
囲まれている。だから人の気配がしなかった。
こんなものが漂っているんだ。当然のこと。
…キャプテン、下見に来て正解でしたよ。
ここは危険すぎる。
「だが気付いたところで…もう遅い」
巨漢が笑う。
手に力が入らなくなる。身体の中にぐるぐると廻って血が暴走する。
あぁ、やっぱり。
『…かはっ、!』
ペシャッ、と軽快な音を立てて地面に弾けたそれは赤。私の、赤。
目から。鼻から。耳から。口から。赤が噴き出す。
『かっ"、…ゴフッ』
「「A!!」」
これは、猛毒だ。
この島を覆っている霧は全て、コイツらの仕組んだ毒罠だったのだ。
幸い、ガスマスクを着けた二人は何ともない様子。
早めに鼻と口を塞げたのは良かった。
『…ふたり、とも…一度、船にっ…!』
そういうや否や、私の体を起こして走り出す二人。
私は後ろを振り向き、笑う巨漢を見つめながら気を失った。
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凛月のさぶ。(プロフ) - Nakoさん» 返信遅れてすみません!コメントありがとうございます!良かったです!ぜひ楽しんでください😊 (7月1日 14時) (レス) id: e8fb34f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - すみません。見られました! (7月1日 14時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - 中編集がみらません。年齢制限の変更はどうやりますか?楽しくて何回も読んでいます😊 (7月1日 13時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - aimerさん» レスを付け忘れていました…。また不明点などありましたらお気軽にお声がけ下さい! (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - コメントありがとうございます!中編集の方はアプリでは閲覧できませんので、ウェブから占ツクのサイトへアクセスして頂いて、それでも見つからない場合は設定から年齢制限の変更が必要になります。探して頂いてありがとうございます…中編集でお待ちしております。😊 (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛月 | 作成日時:2023年2月15日 1時