猛毒*90* ページ49
・ ・ ・
異様なまでの沈黙がその場を包んだ。
私の耳に響くのは己の鼓動のみ。
沈黙が続けば続くほど、嫌な汗が噴き出して体の末端から温度が消える。
『…あ、の……せめて…何か』
言って、と続けようとした瞬間。
『きゃあっ！？』
ガバッと体を抱き起こされ、信じられないほどの早足でどこかに連れて行かれる。顔を覗き込もうとしたが帽子で丁度影になってしまい表情は読み取れなかった。
怒ってる、なんてことは無いよね…！？
そう不安に思っていると目的地に着いたらしく、ローは乱暴に扉を開けた。
…バキッという音がしたことは気にしないでおこう。
中に居たのはベポとシャチとペンギン。ここは操縦室だ。
一体なんの用で…
「ベポ…次の島まで後どれだけかかる」
「えっ！？えっとね…」
急に問いかけられ、慌てて海図を見直すベポ。
………まさかとは思うけど…。
「このまま行けば、あと5日で着くよ！！」
「……く……、だ」
「え？」
「キャプテン？」
体を少し震わせながらボソッと呟いたキャプテン。
聞き取れなかったシャチとペンギンは耳に手を添えキャプテンのそばに近寄る。
そしてその瞬間、キャプテンが叫んだ。
「全速前進だ！！！一刻も早く島に辿り着け！！！」
「アッ！！アイアイ！！！！！」
余りの大声に抱き抱えられた私は思わず耳を塞いだ。
シャチとペンギンも相当鼓膜に響いたらしく床にぶっ倒れている。
『だ、大丈夫…？』
「こ、鼓膜が……」
「いやそれより…急にどうしたんですかキャプテン……」
耳を抑えプルプルと震えているシャチ。
ペンギンはうつ伏せになりながらもキャプテンに理由を聞いた。
するとキャプテンは恥ずかしげも無く言いのけた。
「島に着いたらコイツを抱く」
『わーーーーーーーっ！！？！？』
慌ててその口を両手で塞いだが、発した言葉を取り消す事は出来ず。
先程までの表情から一転、これでもかという程口角を上げニヤニヤといやらしい笑みを二人は浮かべた。
ベポは「もう抱っこしてるのに？」と首を傾げている。
「そうかそうか〜遂にか〜」
「わっかりましたキャプテン〜！そうと決まれば赤飯の準備を…」
『せきはっ…！？恥ずかしいから絶対やめて！！』
「他の奴らにも急ぐ様に言っておけ」
「「アイアイキャプテン♡」」
『…もっ、もう勘弁してーーっ！！！』
私の羞恥の叫びは、ポーラータング号の中に響き渡ったという…。
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凛月のさぶ。(プロフ) - Nakoさん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます！良かったです！ぜひ楽しんでください😊 (7月1日 14時) (
レス) id: e8fb34f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - すみません。見られました！ (7月1日 14時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - 中編集がみらません。年齢制限の変更はどうやりますか？楽しくて何回も読んでいます😊 (7月1日 13時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - aimerさん» レスを付け忘れていました…。また不明点などありましたらお気軽にお声がけ下さい！ (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - コメントありがとうございます！中編集の方はアプリでは閲覧できませんので、ウェブから占ツクのサイトへアクセスして頂いて、それでも見つからない場合は設定から年齢制限の変更が必要になります。探して頂いてありがとうございます…中編集でお待ちしております。😊 (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛月
| 作成日時：2023年2月15日 1時
