猛毒*76* ページ35
＿＿No side＿＿
「＿＿＿＿＿＿＿＿＿"タクト"」
ローが右手の人差し指を空へ向けそう呟けば
青いサークル内にある物質は彼の思い通りに動く。
「…き、霧が...！！」
ミフタルは自分の目を疑った。
話を聞いただけでは到底理解できなかった能力が今目の前で行使されている。
指先一つで街を覆い尽くす毒霧を操る姿はまるでオーケストラの指揮者の様。
ジリアンを初めとした子供たちも、目の前の光景に心を奪われる。
すごい、すごい、すごい！
ジリアンは込み上げてくる興奮を抑えきれずに体を跳ねさせ瞳を輝かせる。
「...」
"タクト"によって動かされた霧たちはローの手元に集められた。
圧縮され、液体状になったそれは中和剤が入ったフラスコに注がれる。
栓を締めて左右に少し振ってやれば
紫色の液体は、深い青色の中和剤によって段々と明るい色へ変わっていく。
「わぁ、凄い...！」
「...綺麗だね」
ジリアンの背後から顔を覗かせたコルトンは見慣れぬ化学反応にそう声を漏らした。そんな弟の頭を撫でながら同じ様に呟くジリアン。
ミフタルも、嬉しさと安堵の交ざった表情でそれを見つめた。
少し経つと、混ざりあった液体は完全に真っ白に。
ミフタルは先程の実験と同じ様に中和が完了した毒霧だったものを見て
ゆっくりと理解する。
こんなにもあっさり...いや、終わりこそあっさりだったがここまでの道のりは苦しく、長く、そして偶然の重なり合いだった。と。
「...終わったな」
ローはそう呟き、液体の入ったフラスコをミフタルへ手渡した。
「お前のお陰で想定していたよりもかなり早く終わった。礼を言う」
「...いや、礼を言うのはこっちの方だよ。
本当に、本当に...ありがとう」
「ミフタルさん！！見て！！空だよ！空！」
「太陽まぶしーっ！」
揃って空を見上げ、手を伸ばし、笑顔を浮かべる子供達。
ミフタルはその様子に涙を零したが、憑き物の取れたような、そんな清々しい顔をしていた。
「お兄ちゃん、ありがとう」
「ぁ、ありがとう...！」
「......あァ」
ローはジリアンとコルトンの頭に一度ずつ手を乗せた。
その様子にシャチとペンギンは何やら騒がしかったが、満足気に笑みを浮かべるローは知る由もなし。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿これで、自由だ
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凛月のさぶ。(プロフ) - Nakoさん» 返信遅れてすみません！コメントありがとうございます！良かったです！ぜひ楽しんでください😊 (7月1日 14時) (
レス) id: e8fb34f3b7 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - すみません。見られました！ (7月1日 14時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
Nako(プロフ) - 中編集がみらません。年齢制限の変更はどうやりますか？楽しくて何回も読んでいます😊 (7月1日 13時) (レス) id: ce50961c41 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - aimerさん» レスを付け忘れていました…。また不明点などありましたらお気軽にお声がけ下さい！ (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
凛月(プロフ) - コメントありがとうございます！中編集の方はアプリでは閲覧できませんので、ウェブから占ツクのサイトへアクセスして頂いて、それでも見つからない場合は設定から年齢制限の変更が必要になります。探して頂いてありがとうございます…中編集でお待ちしております。😊 (5月27日 23時) (レス) id: 80b1d18970 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凛月
| 作成日時：2023年2月15日 1時
