91話~人ならざる者への~ ページ43
貴方side
はぁ……セベク殿も困ったものですね、食事管理しているくせにこういう時だけ無駄に大量に食べようとするんですから
もとよりあの子は他者より大食いだと言うのに、その基準で多めと言ったら……はぁ
この前大量に買い込んでおいて正解でしたね
っといけないいけない、今私が集中すべきは夕食のことではなく目の前の植物達にです
クルーウェル先生に頼まれた肥料等による栄養度、成長度合いとスピード、虫食いなどの被害チェックをしなければならない
酷くないですか？お腹が空いたから錬金術の授業で使った余り物の魚と失敗した実験済みの魚を生で食べただけなのに……
それだけで罰って酷いです！！残す方が勿体ないでしょうに
それに魚は焼いても美味しいですけど新鮮な生だって美味しいんですよ？たまに寄生虫いますけど
貴方「……どーせ私は食害鳥ですよ、焼き鳥になんてされませんからねーっだ」
不貞腐れつつ、ちゃんとペンとバインダー片手に任された任務をこなしていく
クルーウェル先生、何故あんなに私にだけ容赦ないんでしょう……食料庫潰しの歩く食害鳥だなんて、なんと酷い蔑称を考えるんでしょうか
流石の私でも傷つきましたよ
ｳｨｨｨﾝ…
「おーい、A·モーアンさーん！！」
貴方「？………おや、これは珍客ですね」
遠くの方から何やら聞きなれない音を出しながら近付いてくる青い炎のような頭髪の人型によく似た何か
それは私の目の前まで来ると律儀に止まった
「こんにちは！A·モーアンさんだよね？」
貴方「はい、こんにちは…えぇそうですよ」
不思議な口部ですね、瞳や瞼などの顔上半分はちゃんとした人間のそれにそっくりですが……下半分は何やら硬い何かに覆われているというか
これは……接続されてる？
それにこの方……明らかにリリア殿より背丈は小さいですし制服も来ておりません、人体の方も何やら分裂していてそれがくっ付いてるようにしか……
それにこの子……人間じゃない
存在はそこにあるのに、生気を感じられない
何者だ？此奴
92話~出来る範囲を知らない~→←90話~英才と帝王の学び~
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作者名：元薺(サイ)だった者
| 作成日時：2022年1月17日 13時
