ゼラニウム - Kota × Hikaru - (ページ11)

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ｶﾗﾝｶﾗﾝ

耳にすっと入る綺麗な音を聞きながら、店内に入る

カウンター席を見ると、俺の定位置の4つ離れた席に
“ 女性 ” が座っていた

フードを深く被っており、顔はよく見えなかったが

水を貰った俺は、ごくごくと体の中を潤していく

『良い飲みっぷり』

苦笑しながら、俺を冷たい目で見るやまだ

『ははっ、やまだくんも、大人になれば分かるよ

まぁ、俺はそんなにお酒飲まないけどね』

語尾に音符でも付きそうなくらい楽しげな声を出すオーナー、否けいと

『てか、やぶちゃん、どしたの？
今日やけに静かじゃん。いつも彼女がまたって毒吐いてるのに』

振られた彼女が脳裏に浮かび、少し顔を顰めてしまう

彼女と別れたのは数日前

隣の客になりふり構わず、やまだとけいとに別れた

振られた理由をぺらぺら話してしまった

隣の客が帰ったと思い、不意に目で追い掛けると
彼女が学生証を落とした

入った時に見えたスクールバックは彼女のものだったのか

失礼だとは思ったが、中身を見たら .. そこにいたのは、彼女と似た人物

双子のお兄さん？間違えたのかな

『やぶちゃん、それ届けたげて

俺らまだやんなきゃ行けないことあるし

てか、会社に戻って仕事してください』

年下のやまだに言われたくないな、と思いながらも

さすがにサボるのは気が引けたので

学生証を鞄に入れて、彼女を追った