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水道は体育館の裏側、学校の敷地の端にある。そんな位置だから使う時は大抵ーーというかまだ一度も誰とも会ったことがないのだが。
その水道の方向からバシャバシャと水音が聞こえてきて、私はいつもより慎重に角を曲がった。
｢ ( やっぱり誰かいる ) ｣
オレンジ色のビブスは梟谷だ。ビブスを着ているということはベンチメンバーだけだし、それにあの１２番には見覚えがある。
試合の後半に出てきて、緊張からかミスを連発してしまって分かりやすく調子を落としていた一年生。
けと、ブロックと守備固い音駒のリベロを避けて鋭いクロスを打った時は、バレーがあんまり分からない私を含めみんな息を呑んだ。アウトにはなってしまったものの、強豪梟谷で早くも試合に出ているのだから、彼の実力は確かだろう。
同級生だし、話しかけてみようか。いや、でもこんなところに一人でいるということは、触れない方がいいかな。
でもわざわざ別の水道に行っている時間もないので、私はなるべく気配を消して、彼から一番遠い蛇口の近くにかごを置いた。
きゅ、きゅ、と蛇口を捻る音が響く。思ったより音が大きくて、彼の邪魔になってないかとちらりと横目で彼の方を見てーーつい二度見してしまった。
だって、彼がこっちをガン見していたから。
｢……｣
｢…………｣
見つめ合い、気まずい時が流れる。お互いの蛇口から水が流れる音だけがその空間に響いた。
｢……えっとー、今日のクロスすごかったね｣
｢！……そ、そうか？｣
｢うん、ギュイン！っていってさ。音駒の先輩達むちゃくちゃ守備固いのに、反応ついていかなかったみたい｣
思いきって話しかけてみたら意外と食いついてくれた。彼は私の言葉を聞いて、素直すぎるくらいににやける。
｢……落ち込んでたの？｣
そうでないと試合後に水を被ったりしないだろうから。一度はスルーしようとしたもののやはり気になってしまい尋ねると、彼はゆっくり空を見上げた。顎からぽたぽたと水が垂れる。
｢うん。でももーダイジョーブ！すっげー元気出た！ありがとう！｣
夕陽が滴る雫を照らして、彼の素直な笑顔がキラキラと輝いた。
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きゃーぽん(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、すーっごく面白いです！更新頑張ってください！^_^ (2022年6月5日 0時) (
レス) @page50 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
青春の餌(プロフ) - 佐野さん» わーーんありがとうございます;私の中で傑作になる予定なのでぜひこれからもよろしくお願いします！！！(大嘘) (2022年5月6日 19時) (レス) id: 08381ab857 (このIDを非表示/違反報告)
青春の餌(プロフ) - かわあいさん» 気づくの遅くなって大変申し訳ないです；ありがとうございます！ぜひ飽きずにみてほしいです； (2022年5月6日 19時) (レス) id: 08381ab857 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 更新楽しみにしてます〜！ (2022年5月5日 20時) (レス) @page48 id: c029f451b1 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 更新楽しみにして待ってます！ (2022年4月22日 21時) (レス) @page27 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青春の餌 | 作成日時：2022年4月2日 12時
