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「ねぇ鉄朗」
「あん?」
「手伝ってくれるのはありがたいんだけど、私一人でもできるよ?」
いつも私がスポドリを作り始めると知らない間にすっと横に来て手伝ってくれるけど。そうたくさん部員がいる訳でもないし、そこまで大変な仕事ではない。
「いやいやいや、スポドリ入れたら重くなるっしょ?流石にそれをか弱いA一人に持たせる訳にはいかないわ」
「へー、本音は?」
「準備ちょっとサボれるから手伝わせてください」
「ほんっと、夜っくんに言いつけてやろ」
「それだけはご勘弁を」
鉄朗は真剣に懇願する振りをする。バレバレなのに私は肩を竦めて聞いていなかったことにするのだ。
「それよりもーすぐ来んだろ?案内行かなくていーの」
「あ、そうだった。じゃあこれ任せていい?」
「ほら、俺が必要なんじゃん」
「別にまだやれる時間あるけどー?全然置いといてくれればやるし!」
「冗談です、やらせてください」
鉄朗は濡れたままの両手を上げて降参のポーズをする。私はやれやれと息を吐いて、「じゃあよろしくね」と言って玄関へと向かった。
入部してから数週間経ち、マネージャーの仕事にもだいぶ慣れてきた。
今日は昔から音駒と交流のある高校と練習試合を行う。私達一年生にとっては初めての相手だ。名前は『私立梟谷学園高校男子バレー部』。
全国大会にも何度か出場している強豪校だ。昔から交流があり、練習試合も結構してもらっているらしいが勝てたことはほとんどないんだとか。
玄関に向かうと、ちょうど梟谷のバスがとまった所だった。
「こんにちは!本日はよろしくお願いします!」
.
結果を言うと、試合は完敗だった。これまで互角な相手としか戦ったことがなかったので、音駒がここまで点差をつけられるのを初めて見て唖然としてしまった。
「すげえな……俺も試合してえ」
「さっきの4番のボールとってみてえな」
練習試合は二年、三年飲みで構成されたレギュラーメンバーのみの出場だったが、出られなかった一年生組は余計燃え上がっているようだ。
さすがバレー馬鹿だな、と感心に近い感想を思いながら、私は空になったボトルをカゴに入れて水道へと向かった。
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きゃーぽん(プロフ) - めちゃめちゃキュンキュンするし、すーっごく面白いです!更新頑張ってください!^_^ (2022年6月5日 0時) (レス) @page50 id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
青春の餌(プロフ) - 佐野さん» わーーんありがとうございます;私の中で傑作になる予定なのでぜひこれからもよろしくお願いします!!!(大嘘) (2022年5月6日 19時) (レス) id: 08381ab857 (このIDを非表示/違反報告)
青春の餌(プロフ) - かわあいさん» 気づくの遅くなって大変申し訳ないです;ありがとうございます!ぜひ飽きずにみてほしいです; (2022年5月6日 19時) (レス) id: 08381ab857 (このIDを非表示/違反報告)
佐野(プロフ) - 更新楽しみにしてます〜! (2022年5月5日 20時) (レス) @page48 id: c029f451b1 (このIDを非表示/違反報告)
かわあい - 更新楽しみにして待ってます! (2022年4月22日 21時) (レス) @page27 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:青春の餌 | 作成日時:2022年4月2日 12時