びじねすかっぷる。緑 (ページ10)

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.10. 朝ページ10

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｢ねー、おーくまくん起きてって｣

『 …ん、うっさい』

｢じゃあもうハムくんと行くから｣

『行け行け勝手に、…莉子と行くわ』

って昨日の嫉妬が嘘だったみたいで。

｢いってきまーす｣

『ん、10分後起こして』

｢だからもう行くって｣

鞄を取って靴を履いて玄関を開けると、おーくまくんよりも背が低い人。

｢あ、ハムくん｣

安『おはよー、遅いわ』

｢うん、ちょっとめんどくさい奴がいたから｣

安『そんなん1人しかおらんやろ笑行くで』

ってさりげなく手を繋がれる。

安『あれ、振りほどかんの？』

｢別に、おーくまくんじゃないし｣

安『大倉ちゃうから振りほどかんの？って聞いてんねんで？』

｢おーくまくん以外となら手繋げる｣

ほんとにそう。
別におーくまくんと繋ぐのがドキドキするとかそんなんじゃないけどなんか負けた気がするから。

安『んー、見て。誰もおらんわ』

｢うわ、ほんとだ｣

安『はい、勉強するで』

｢もう？｣

安『亮にハグされたい言うたのは誰やった？』

｢はい、します。すみません｣

それを言われるとするしかなくなる。
先輩からのハグなんて考えただけで…

安『そんなにやけんとって笑』

｢ごめん、ちょっと別世界行ってた｣

安『何してんの笑』

ハムくんはおーくまくんに比べて、穏やか。
あんなすぐ〝ぼけ〟だの〝かす〟だの言ってくる奴の方が少ないんだと思うけど。

安『あ、そういえば大倉が莉子ちゃんの事好きなんは知ってる？』

｢うん、家でもずーーっと幼馴染ちゃんのことばっかり｣

安『そっか、知ってんねんな』

｢幼馴染ちゃんはおーくまくんの事好きにならないの？｣

安『なんでそう思うん？笑』

｢ …あいつ、世間一般から見たらかっこいいのかなって…やっぱり今の無し｣

安『ふふふ、そやなぁ～。好きやと思うで、莉子ちゃんも大倉のこと』

｢じゃあなんで好きって… ｣

安『そっから先は大倉に聞き？』

あ、そうだ、前もおーくまくんとこんな話になった時拒絶されたんだっけ。

安『ん、手止まってる。ここは？』

｢ …54X ｣

安『 yはどこ行ってん笑』

｢あ、ほんとだ笑｣

おーくまくんもいつか心を開いてくれんのかな。
って開いてない私が言えることじゃないんだけどね。

なんだ、幼馴染ちゃんと両想いなんだったら私と別れたらいいのに、私だけなんか嫌だ