びじねすかっぷる。緑 (ページ8)

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.08. ハムくんページ8

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おーくまくんに抱きしめられて数十秒後、ぱっと腕を離す彼。

『ごめん、莉子やと思ってしてもうた』

心臓がドクンってなった。
幼馴染ちゃんにはするのかな？って。

『じゃ、そろそろ戻るわ』

｢んー、私も｣

『ほら、はよ行くで笑』

私の手を引っ張って教室まで送ってくれるおーくまくんはいつものおーくまくん。

美｢ね、今日席替えやねんて笑｣

っていうことは…美香と席が離れるだと！？
このクラスで素で話せるのは美香しかいない。
…おーくまくんとの〝びじねす〟の事も。

｢やだよ、私！美香～｣

美｢私も嫌やわ笑ほら、くじ引き引かな笑｣

嫌々くじを引くと私は 18 。
コソッと美香に聞くと 2 。

美｢もうそんな顔さえへんの笑｣

｢端と端じゃんか～…… ｣

美｢休み時間行くから、な？笑｣

美香はほんとに男前だと思う。
錦戸先輩と同じ関西弁だし、美香が男なら私は完全に惚れてたよ。

しぶしぶ新しい自分の席に着くと隣には

安『あ、隣Aちゃん？？嬉しいわ～笑』

って。この人は確か、…あの！ハムスターくん！！

｢あ、うん笑私も嬉しい笑｣

安『大倉から聞いてんねやから素でおってええねんで？笑』

そうだ、おーくまくんが唯一言った相手でもある。

｢私、素もこれだよ？笑｣

安『ふーーーん笑』

｢え～何～笑｣

安『しんどなるで、猫被ってたら笑』

穏やかな顔をしているのに目の奥は一切笑っていないハムスターくん。

｢は、ハムスターくんこそ無理して笑ってない？笑｣

言い返してやろう、そう思って聞いたのに

安『あ、わかった？？俺女と話すん嫌いやねん笑』

見つけた。もう一人猫を被っている人。

安『でも、Aちゃんは別』

｢へ、｣

安『だって大倉の彼女やで？仮やけど笑』

｢ハムスターく… ｣

安『あと俺、ハムスターくんって呼ばれんの嫌い』

そう言うハムスターくんの顔は私達がいつも見てた優しい顔じゃなかった。

｢ …じゃあなんて呼べばいいの？｣

安『お、素出してくれた～』

｢猫被るのもしんどいんのよね、｣

安『わかるわかる。じゃあ俺もAちゃんには素出すな？』

｢下手な笑顔見せられるよりはいいかな｣

安『ふふ、ほんま似てるわ笑』

今日から〝ハムスターくん〟から〝ハムくん〟になった。

｢ハムくんはいいの？｣

安『おん、可愛いやん』

｢理解し難いね｣

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