びじねすかっぷる。緑 (ページ12)

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.12. 子供ページ12

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我ながら子供だったなぁってつくづく思う。
でも、私は本気で先輩が好きなのに、幼馴染ちゃんがおーくまくんの事を好きなら私だけ夢見てるんじゃないかって。

安『あ、Aちゃん。どうしたん？』

｢ …何も無い｣

安『そんな泣きそうなってんのに何もないわけないやろ？』

｢泣きそうに、なってないっ… ｣

5時間目は気がつくと終わっていた。
目が覚めるともうホームルームも終わりかけで。

安『今日一緒に帰ろっか』

｢え、｣

安『ほら、帰んで』

｢でも、｣

はぁっと大きなため息をついたハムくんに腕を引かれ、校内を出る。

｢ハムくん、ありがと｣

安『大倉にもそう素直に言えばええのに』

｢ …なんでそう思うの｣

安『大倉は言わへんだけで今も必死に探してると思うで』

そんなはずない、おーくまくんに限って絶対そんなはずなんか。

安『はい、着いたわ』

｢ …ハムくん！ありがと！｣

安『ふふ、急におっきい声出すのびびるわ笑』

なんて言って帰ってくハムくん。
ハムくんは優しい。

家に帰って数分。
まだ、おーくまくんは帰ってこない。

ガチャお音がして、急いで玄関に向かう。
足が勝手に動いてって、

｢ …お、おかえり｣

『しばくでお前』

ぎゅうっとさっきまで1番会いたくなかった人に抱きしめられる。

｢ …ちょ、離れて｣

『無理、』

｢臭い｣

『どんだけ心配したと思ってんねん、』

なんて見たことないような顔で俯くから。

｢私も、悪かった…かも｣

『当たり前やろ』

｢ …やっぱり無し｣

『 …俺も、……ごめ、』

｢ごめ？｣

『 ………ごめんなんか言うかぼけ！！』

｢人間としてありえない｣

私を今抱きしめてるのは一番会いたくなくて、一番嫌いな奴。
それに変わりはない。でも、

｢ …やっぱり契約続行がいい｣

『あほか、俺もお前とちゃうかったら無理やわ』

ちょっとは初めましての日よりは、近づけてるのかなって。

｢今日ハムくんと帰ってきたの｣

『 ……で？』

｢優しかった｣

『 …だから？』

｢おーくまくんとは全然違… ｣

『今日な、莉子と帰ってきてん』

くそ、やり返された。

｢ …良かったね、｣

『 …誰かさんのせいで莉子とは帰られへんかったわ、おらんくなるから』

私ね、おーくまくん。今、ちょっと、ちょっとだけね、おーくまくんの事可愛いって思った。

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