ぬらりくらりと

13話 ページ15

黒田坊side

「リキト様！」

拙者が抱きつくと少し驚かれたのか肩がびくりとはねていた。

「拙者の事をそこまで考えていて下さったなんて…拙者嬉しすぎて言葉にするのも大変です！ 」
『へ？』

リキト様があのような事を言われるとは思っていなかったので込み上げて来るものがあり、気付いたら抱きしめていた。何回目か分からない拙者の抱擁をすんなり受け止めてくれるリキト様。また、その器の大きさに泣きそうになる。

「拙者が怖くないのですか？」

気付けば前々から思っていた事を問いとしてリキト様に言っていた。
昔から、拙者の事をそう理解している事はそういない。基本的に拙者は子供に嫌われる質だ。だから最初にリキト様が生まれた時、拙者は嫌われると思っていた。現に今も無理に接しているのではないかと心配になる。

『怖い？何で？』

その問い自体が意味が分からないという瞳でこちらを見てくるリキト様。その瞳には真っ直ぐで拙者には眩しすぎる程だ。度量の大きさ、力強い瞳、そんなリキト様に一生ついて行こうと決めたのは自然的な流れだった。

「リキト様！一生ついて行きます！拙者に剣術の事、何でもお聞きくださいませ！」

勢いよく言い放った言葉にリキト様は笑顔で答えてくださった。

14話→←12話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す