こち未来！【ぷよぷよ】第一巻 (ページ40)

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24時間目　(人1)サイドです。ページ40

…朝か。
早いなぁ……。

鳥のさえずり。
街を歩く人。
未だに夢を見ている人。
いつもと変わらぬ光景。

僕は、森の中の家の一室に目を落とす。

その部屋には、ベット、本棚、勉強机は無く、使われなくなった家具達が静かに眠っていた。
使われなくなった本棚には、古い本が綺麗に収められていた。

隣の部屋を見る。

その部屋には、水色の布団で眠るシアがいた。
青い壁紙の張られた部屋で、
僕の写真や、二人でお金を出し合って買ったペアネックレス、
二人で写った写真、僕だけが写った写真があったハズの棚には、
カメラ、校外学習の時の写真、青ぷよのぬいぐるみ、フェーリと写った写真があった。

あぁ……やっぱり、僕は居なくなっている。

カルラに呼び出された時に、僕は存在を消す為の魔法陣にかかってしまった。
そのまま存在を消された訳だ。
他の人の記憶から消えただけだけどさ。

今の僕は、単なる厄介者。
プリンプタウンから出て行かないとな……。

最後に、フィグ、クルー、アーク、そして、僕の1番大切な人……シアに別れの挨拶くらいしたかったな。

毎日毎日、シアに追いかけられていたけれど、それはそれで嬉しかった。
僕は、こんなにも人から必要とされていると思うと、とても嬉しかった。

僕は、自分の物が全て入ったトランクから、
白いキャスケットと黒いコート、藍色のズボンを取り出す。

白いラインが入った藍色のズボンを見て、父さん……シグの顔を思い出す。
もう会えないと思うと、悲しさでいっぱいになった。
ズボンが無くて、僕のズボンを見なかったか聞いたら、父さんが持って来たズボン。
父さんが、僕ぐらいの歳にはいていたズボンらしい。
おさがりって言うんだろうけど……いいのかなぁ？このまま持っていて。

そんな事を考えつつも、キャスケットをかぶり、コートをはおり、ズボンを履き替えた。

今は朝だし、第一ここは森だし、人はいないし、大丈夫！うん！きっと大丈夫だ！
僕が履き替えているところを見た人なんているハズない！

僕はリビングに目を落とす。

母さんが朝ごはんの支度を、父さんが服の用意をしていた。
そういや、今日は授業参観だっけ。
僕はいない事になってるし、他の人に紛れて参観しようかな。

その時、母さんが僕の方を見た。
それに釣られて、父さんも僕の方を見る。

僕はキャスケットを上に上げると、笑顔で手を振った。
そのまま僕は、背を向けて森の中を進んで行った。