三十三話:友人 ページ35
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その様子を見て一瞬呼吸が止まったが、すぐに気を取り直して木陰から飛び出した。あの人には、まだ息があるかもしれない。
狼が音でこちらを認識したようで、牙を剥き出しにして姿勢を低くした。次の瞬間飛び掛かってきた獣によく目を凝らし、剣を構える。
……しかし忘れないでほしい。俺は犬派だ、動物が好きだ。
もちろん斬るなんてこと出来ない。心痛く思いながらも飛び掛かってきた狼の腹あたりに、ある程度の威力で柄頭で殴った。
キャイン、と甲高い悲鳴を上げて数メートル吹っ飛んだ獣。その拍子に蔦のようなものに足が絡まっていたためすぐには来れないだろうが警戒しながら、人に近寄り息を確認する。
かなり血のような黒いもので濡れていて服の色も見えないような状態だったが、なんと驚くことに息があった。この出血量だというのに。
貴「大丈夫ですか！」
息はあると言えど虫のようにか細いもので、すぐに消えてしまいそう。
俺はあまり刺激しないよう声をかけながら、肩を優しくゆすった。その際に首元の服の内側から、銀色のネックレスのようなものが出てくる。＿＿ドックタグ。
軍人であれば見慣れたもののため逆にこちらが驚いた。慌ててこびりついた血を爪で削って、掘ってある名前を確認する。
「
その名前の下に同じように掘られている、V国の紋様と「
貴「っ、森の中で自軍の兵士を発見！意識がない、俺はこのまま走って城まで運ぶ！少しの間この街を任せるが、お前たちなら大丈夫だろう！」
『はい！？副隊長、ここから王都までどれほどの距離があると！？』
『ば、馬車は使えないのですか！？』
貴「長期任務になると思っていたから馬車は帰らせた、もういない。医療班を待つにしても、ここまではかなりの山道だ。暗闇の中だと危険が伴う。」
『し、しかし…！！』
『副隊長、冷静にお考えください！！』
『副隊長！！！』
部下の叫び声が聞こえたが、振り切るように通信をぶちぎった。ピコピコと応答を求める通信が鳴り続けるが、全て無視をする。
ロボロは大切な友人であって、仲間だ。このゾムとかいう男のことはよく知らないが、こいつが死ねばロボロは間違いなく悲しむ。
大切な友人のためだ、人肌脱いでやろう。
冷や汗を垂らしながら、王都の方向を力強く見据えた。大丈夫、そう遠くない。
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傘木わう(プロフ) - ピースさん» ご協力ありがとうございます、よろしくお願いします！！ (2022年5月8日 19時) (
レス) @page48 id: c70dfcf180 (このIDを非表示/違反報告)
ピース - 検索避け!そうでした,ごめんなさい次から気をつけます (2022年5月6日 8時) (レス) id: b650542de4 (このIDを非表示/違反報告)
傘木わう(プロフ) - ピースさん» コメントありがとうございます！沢山の人と絡ませたいあまりにどんどんとキャラを出しています…検索避けにご協力くださると嬉しいです！親しい仲には気を抜いてしまう系男子です、ぜひ！！！ (2022年5月5日 19時) (レス) @page47 id: c70dfcf180 (このIDを非表示/違反報告)
ピース - 更新お疲れ様です！エミさんがでてきましたね！初期のような敬語ではなく、崩しているのが完成度高杉くん、、惚れていいですか？ (2022年5月5日 0時) (レス) @page47 id: 3795c39556 (このIDを非表示/違反報告)
傘木わう(プロフ) - 三日月さん» わ、コメントありがとうございます！！皆あまりすぎる褒め言葉いただけて光栄です…！！応援ありがとうございます、頑張ります！！ (2022年4月25日 22時) (レス) id: c70dfcf180 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：傘木わう | 作成日時：2022年4月4日 0時
