なんでもない日のパーティ中に反復横跳びすんな

ページ ページ5

｢あの、オクタの副寮長｣

｢ジェイドです｣

｢ｱジェイド副寮長……｣

｢はい、なんでしょう｣

｢肩幅とかはともかくスリーサイズ測る必要ってあるんすか……？｣



ダンデちゃん先輩に見捨てられて早十数分。
私は今、ジェイド副寮長に肩幅や腕の長さ、股下、スリーサイズまでこと細かに測定をされている。ちなみに拒否権はなかった。

身体にピタリと付けられるメジャーと、たまに当たるジェイド副寮長の手がこそばゆい。



｢まあ、採寸ですからねぇ｣

｢普通こんな細かく測るもんなんですか？｣

｢いえ、普通は号数と記号を聞いて終わりですよ。でも貴方はYA1号でも大きいでしょう？｣

｢うっ……｣



ぐうの音も出ず｢そうですね｣とだけ弱々しく返す。

ジェイド副寮長が跪いてやっと私と同程度の目線になる、というのは屈辱的で侮辱的で悔しいが、紛れもない事実だ。そして私はYA1号のスーツを着てもブカブカだということも事実だ。

羞恥心に震えていると、私のウエストにジェイド副寮長の両手がまわる。両手の人差し指と親指を輪っかにするような感じ。



｢ほら、僕の手で掴めてしまうくらい細いじゃないですか｣

｢ちょちょちょちょちょままままま｣



大胆、非常に大胆。
距離感バグってんだろこの魚類。

＿＿＿＿私もよく勢いでハグすることはあるが、こんな人のウエスト掴む程大胆なことはしたことないぞ！ しかもこんな乙女のウエストをがっちり掴むなんて！

あまりの混乱に壊れた音の出るおもちゃのような吃り方をしてしまう。

それに加え｢どうかしましたか？｣なんて上目遣いに聞いてくるものだから、思わず彼の手を振り払い、この場から逃げ出した。



｢は、ハレンチーーー!!!!｣






｢おやおや｣

｢ジェイド〜、新しく入ったヤツどこにいんの？｣

｢ああ……彼なら、先程帰られましたよ｣

｢は？ オレも見てみたかったんだけどぉ｣

上からドラコニア→←前ページ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す