ヘイヘイシショー！！・二ノ陣！【木兎 光太郎】

71.食い意地 ページ35

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「おらフライング一周！」
『あーっス！』

えんえん繰り返された練習も夕飯前30分前。
きつい練習も、もうすぐ一区切り。

烏野の面々がフライングに駆り出されていく。

(烏野率いる澤村(澤くん)に異様な程素晴らしい貫禄がついて来てる気がする……)


コータローたち梟谷は、音駒に25-20で勝利。
ペナルティ総数も四校の中じゃ一番少ないし、良いじゃないかコータローたち。
支えて支え合って。俺らの代とは違う、コータローたちだけの魅力が出来上がってる。

相変わらず孤爪(こずっち)は嫌なこと(セッターファストタッチ)するの上手いなぁとか、タッキーナイスブロック！とか、
あっ、リフくんナイスレシー、おおーそうそういいカバー！
とかせわしなく思いながら、せかせかとビブスたたみ。



とはいえ、さすがは練習終盤というべきか。
みんなどことなく空気の抜けた雰囲気になって来てる。


いかん！それはいかん！
最後こそテンション上げてけ〜！

最後まで、遣り切ってこそ練習だ！


俺が鼓舞してやろう、そう思い、俺が三年の時マネージャーをやってた親友の真似事をしてみることにした。



「おらおらお前ら気合を入れるのだ！今日は−−、」



「お前達〜！」


フライング中の烏野含め、体育館中に声を張り上げる。
視線は一気にこっちに向く。

おおー、目玉全部でなんこ？

いーち、にーぃ、さーん……めんどくさいからなんかでも良いや！
烏野の金髪メガネくんが俺の声量に、あからさまに顔しかめたけど知らないもんね！





「ヘイヘイお前ら気合を入れてラスト頑張れー！

−−今日の晩飯は、【鳥の唐揚げ】だぁ！」



「……」

一瞬の沈黙、からの。


『いよっしゃぁぁぁぁ!!』
『気合い入れてくぞぉ！』


大音量の歓喜。
こっ、高校生の食い意地おそるべし。

つっても、俺も２年前まではこんなもんだったか。

懐かしみながら、唐揚げを揚げに体育館の入り口で待っていてくれたすずりんから、エプロンの入った紙袋を受け取って、台所に向かった。


……入っていたエプロンがお昼のフリフリなやつだったのについては断固抗議したき諸行だがな！


「ねぇ、すずりん。なんでまたこのエプロン？」
「あれ!?普通の入れといたんですけど……!?」
「え、じゃあ誰から入れ替えたんだよー！」

俺はこの犯人を未だ知らない。



(その頃体育館)

(クロ、何ニヤニヤしてるの)
(別に〜？)

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