ヘイヘイシショー！！・二ノ陣！【木兎 光太郎】

64.フェイントのちのツーアタック ページ27

赤葦side






「あ"っ!!」



尾長の腕の上をすり抜けて、ボールがストっとコートに落ちた




ーーくっそ、初っ端からフェイントですか……！




「ユキナガさん！初っ端からフェイントとか、フェイントとかッ!!ずりーっ！」


俺と同じチームのこみさんが、ギリギリボールに追いつかなかったので悔しそうだ

俺もしてやられた感が半端ない


「切り替え」

「はい！」


鷲尾さんが冷静にコートの向こうに目を向けなおすのをみて、俺も切り替え


さっきのフェイント……





木兎さんのフェイントにフォームがそっくりだった

木幡さんが、木兎さんに教えたんだ




「ししょー！スゲーな！懐かしの技だな！フェイント！」

「だろうだろう!!?」

「やっぱかっけぇ！」


「静と動の揺さぶりだ！」
「揺さぶりだ！」


向こうのコートで意気投合する木兎さんと木幡さん
(やっぱり、教えたのは木幡さん)





いつも、試合の時とかに木兎さんがフェイントをしているのは、フォームが完璧に決まって、調子のいい時



つまり、教えた木幡さんの方も……





「小見さん、鷲尾さん、尾長。たぶん、フォームが綺麗に決まった時に、向こう、フェイントがくると思います」


『おう！』



ローテまわって、次のサーブは、木葉さん



(……！)



チラッとだけど、今


木葉さんに向かって、木幡さんが、人差し指で指示を出してるが見えた


いや待て、あのサイン、俺知らない




きっと旧梟谷のサインだ……どう言う意味だ？




結局、わからないまま木葉さんがサーブを打とうとした時だった




「赤葦！サーブセッター狙いだ！」

「！」



鷲尾さんから、鋭く声が上がった

スピードのある動きで飛んできた、木葉さんのサーブに驚きつつもオーバで手を伸ばす




「赤葦、寄越せ！」

「っ、はい……！」




二度目の指示


鷲尾さんが、後ろでバックアタックの体制をとっていた




咄嗟に俺は、前衛左側(フロントライト)から、後衛右側(バックライト)へトスを放った





鷲尾さんの長い手が、ボールを捉える





相手コートをまっすぐに、ボールの軌道が貫く






ドッ！






アタックラインをボールが叩いた



決まった、セッター以外のツーアタック……！





「ナイス！赤葦、鷲尾！」


「いや」
「いえ」


「さっぱりしてんな〜」






相変わらず、表情筋の動かない鷲尾さん(あと多分俺)に小見さんが苦笑い

ともかくこれで、１−１

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