50.彼の失態 ページ12
黒尾side
リエーフの「弟子入り志願」を聞いた
ーー第三体育館に向かった
メイン練習場所の第一体育館からさして遠くない其処に俺はすぐにたどり着いた
何気なく窓から中をのぞけば、オロオロする犬岡と芝山と、
そして、ネット前で身をかがめるリエーフの前で、ユキナガサンに丁度抱きつく木兎が見えた
「何分の一でも、シショーは渡さねー!」
木兎が叫んで、体育館が静かになる
リエーフの表情が、「これはムリだな」と悟った顔になる
背を向けたユキナガサンの表情をうかがい知ることは出来なかった
静かになったリエーフの表情を見やる様に、抱きついた木兎の頭に目を向けていたユキナガサンが、ゆっくりと顔を上げる
すぅ、と息を吸い込む細い音が聞こえた
「……そうだね、リフ君。俺はコータローの言う通り「コータローのシショー」以外にはなるつもりはないんだ。でも、ただ断るだけじゃ、きっとリフ君も納得なんてできないだろうから、きちんと理由を伝えるよ」
俺は体育館に入るのも忘れて、窓の下にしゃがんで、それを聞いた
静かに、ユキナガサンは語り出した。昔話を語るみたいに、年老いたじいさんが地元の伝説を語るみたいに
「リフ君、俺は昔コータローに救われた。一生かかっても返しきれないくらいの恩があるんだ。
俺は昔な、死のうとしたことがあったんだよ」
ごく、軽い、冗談を口走るような軽い口調から、息を飲むほど重い言葉が飛び出して、俺は息を飲んだ
はっ、と漏らしそうになった声を、慌てて飲み込む
(俺がここにいることを知られてはいけない)
そんな警鐘が、俺の脳でなっていた
慌てる俺を、おいてユキナガサンの話は続く
「死にたいって思うくらい、自分の前途に絶望したことがあったんだ。
俺が今のコータローより、一歳年をとった頃の話。
俺は、人生で一度あるかないかくらいの酷い"失態”を犯したんだよ。
俺は、それを必死に隠そうとした。自分が、一番大事にしていた事で、これから歩んでいけなくなるのが怖かったから。
でも、隠しきれずについに知られてしまって、俺は一番大事にしていたものを諦めた。
地位も失った。立場も失った。力も失った。
そして何より、隣を歩いてくれていた相棒を失った」
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ラッキー梟谷メンバー!
木兎光太郎
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雫鶴鳩 - 更新頑張ってください!! (2017年10月7日 18時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)
黒赤兎☆。.:*・゜ - 初めまして!黒赤兎☆。.:*・゜と申します!このお話、とっても大好きです…!!ぼっくんの師匠や、師匠の相棒…。凄く面白くて、何度も読ませて頂いています!暑いですが、お身体に気をつけて下さい! (2017年8月8日 22時) (レス) id: 134121c82c (このIDを非表示/違反報告)
〜雨つばめ〜(プロフ) - 聖雪さん» 改めまして、コメントありがとうございます、聖雪さん。 (2017年5月10日 22時) (レス) id: 18616f513e (このIDを非表示/違反報告)
〜雨つばめ〜(プロフ) - 聖雪さん» そうですね。木兎さん、師匠がいたらきっとこうだろうな、と想像しながら書いております。高校入学後から更新停止はしておりますが、内容は(授業中に)細々書き溜め続けています。近々更新が再開いたしますので今暫くお待ちを…… (2017年5月10日 22時) (レス) id: 18616f513e (このIDを非表示/違反報告)
聖雪 - 一気に最初から読みました。木兎さんの師匠!私も想像したことあります!やっぱり木兎さんの師匠も木兎さんそっくりなんでしょうね笑早く更新再開してくださることを願ってます。応援してます! (2017年5月10日 15時) (レス) id: b29723e58d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:〜雨つばめ〜 | 作成日時:2016年12月6日 21時