Seri Ann slope 【動物彼氏】【ハイキュー】【短編集】

『正反対パーソナリティ』 ページ8

オオハナインコカップル



烏野高校三年には、ある有名なカップルがいる

その名も、"オオハナカップル"


何故有名なのかといえば、彼氏彼女の性格とそのインコの特異な生態が一致している事が大きな理由である






「旭〜！いっくよ！初デートだ、カフェだー！フルーツいっぱいのタルトを食べるよ〜！」

「えっ、ちょ、ちょっと待って！まだ心の準備がッうわぁぁぁ〜！」



烏野高校本校舎の階段を真っ赤なインコが、緑色のインコの足を掴んで、引っ張る様に飛んでいく

真っ赤なインコはノリノリの声をあげながら飛んでいるが、足を掴まれて必死にバランスを取る緑色のインコの方は最早涙目である


飛んでいくその鳥影に、廊下をゆく人々は振り返り、「あ、あれが噂のオオハナカップルだよ」と口々に言う



昇降口にたどり着いたところでようやく、インコは羽ばたきをやめ、ポプンと音を立てて人の姿になる


赤いインコは赤メッシュの入った、いかにも元気良さそうなポニーテールの女子に
そして、緑のインコは180はゆうに超すお団子頭にヒゲの厳つい、成人と見紛う男子に姿を変える



「しょーこーぐちとーちゃぁーくっ！記録は〜31.5秒！」

「あっ、速い……じゃなくて、怖かった……」

「だいじょーぶだよ〜」

「そう、なのかな……怪我はしてないし……」



お気楽そうに笑うのは女子バスケ部のエース、小花 A
ホッとした様に胸をなでおろして、穏やかに笑うのは男子バレー部エース、東峰旭


校内一有名なカップル、"オオハナカップル"の二人だ

それぞれの赤と緑の正反対の羽色からは想像もつかないだろうが、同じオオハナインコの獣人でもある



「おー。またやってるべ、オオハナカップル」

「旭、また小花に引っ張られてるのか？確か今日初デートだとか言ってたのに、彼女に引っ張られてスタートを切るのか？相変わらずひげちょこだな」


「……ゔ。スガに大地…………」
「おー、スガちゃんに澤ちゃん！やっほ！お見送り来てくれたの？」


「まーそんなとこだべ！」


ビクビクしたまま振り返る東峰と、ノリノリで手を振る小花。バレー部三年の菅原と澤村は、旭にとっては勿論、小花にとっても馴染み深い存在だ

呆れ顔のまま、澤村が「女々しいな」と毒づくと、気まずそうに東峰が目線をそらす



「そんなこと言ったって、そういう性格のインコだし……」



仕方ないというふうに、東峰は自分の変化できる動物であるオオハナインコの生態について語り出した

【東峰旭×オオハナインコ】→←ー Falco peregrinus ー

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