【黒尾鉄朗×クロネコ】 ページ16
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「鉄朗!鉄朗しっかり!」
「……ッ!!」
ブツン、と、古びたテレビの電源を入れるように、歪んだ視界がばっと開く。
俺を呼ぶ声を頼りに、歪んだ視界の焦点を合わせていく。
少しクリアになった視界を傾けると、俺の手は、真っ黒な毛で覆われていた。
昨日、布団に潜る前は、確かに人の姿をしていたはずなのに、俺の体は、黒猫に姿を変えていた。
「うぁっ……朝、なのか?」
「うん。よかった、鉄朗、大丈夫?」
恐らく汗だくであろう俺の顔を、翡翠の瞳が覗き込む。
黒い髪と相まって、俺の同居人である彼女は、まるで魔女の様だ。
実際魔女って、呼ばれてるけど、な。
「あー、んー、なんとかな」
「よかったぁ……」
翡翠の瞳の奥が、安心した様に揺らいだ。
「おはよう、鉄朗」
「おはよう、Aのお嬢さん?」
彼女を心配させまいと、いつも通りヨユーぶった笑みを浮かべてやるけど、彼女は眉根を寄せてふくれっ面をした。
「嘘つき。鉄朗の嘘は、優しいけどさ。自分を騙す嘘はつかないで」
「ありゃりゃ、やっぱりバレる?」
やっぱり彼女にはお見通しだ。
俺が困った様に笑うと、彼女はため息をついてから、猫の俺を抱きしめる。
こんな時でも、「胸!あたってるから!勘弁して!お嬢さん!」と思っちゃってる俺は、高校時代から相変わらずということか。
【よしよし、フェール。ご飯にしよっか】
【ナォーン】
夢の中の俺と一緒だ。彼女に抱きしめられると、俺の心は不思議とスッと軽くなる。
俺は、俺を抱きしめる彼女の人なりも、穏やかな見た目も、今までに口にしたことはないけど、大好きだ。
俺は、不思議な夢を見る。
スゲー嫌な、痛くて辛い夢。
猫の姿の俺が、どこか遠い夜の街で、黒猫と"魔女"を殺そうとする人間に追いかけ回されて、最後に、夢の中の俺ーー"フェール"がその飼い主諸共串刺しにされて、そこで目が醒める。
所謂、悪夢ってやつ。
高校卒業したあたりから、そんな夢を頻繁に見る様になった。
最初は放っておいたのだが、段々それが酷くなって、耐えきれなくなった俺が駆け込んだ
彼女、夜染 Aだった。
A曰く、詳しくは分かっていないが、セリアンスロープの中には、過去の自分ーー
ーーつまり、自分の前世の記憶がフラッシュバックしちまう奴らがいるらしい
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雷雅 - 更新頑張ってください、あと及川徹がハリネズミだったら面白いと思います。 (2018年1月4日 19時) (レス) id: e8ca574508 (このIDを非表示/違反報告)
〜雨つばめ〜(プロフ) - ひばりさん» ひばりさん、コメントありがとうございます。いやもう、動物っていうやりとりばっかりなんですけどね……。でも、私の大好きなハイキューと生き物達を通して、そう言っていただけて光栄です。次回はおそらくクロさんです。よろしければ見て言ってくださいね! (2017年1月10日 18時) (レス) id: e76c2d9c3f (このIDを非表示/違反報告)
ひばり(プロフ) - すみません!!間違えて低評価押してしまって…。この短編見つけてから、動物って凄いんだなって思いながら読んでます!!応援してるので、頑張ってください!! (2017年1月10日 18時) (レス) id: 48ed0391c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:〜雨つばめ〜 | 作成日時:2017年1月10日 17時