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朝ごはんを食べ終えて、後片付けをしている私の横でベクはスマホをいじる。
「ソファー行ってていいよ？」
「へいきー。チャニョルからのくだらないメッセージ返してるだけだからー」
ベクと仕事の話はしない。
メンバーのチャニョルくんやギョンスくんの話はベクから聞くけど、私からは聞かない。
ベクが何を求めてここへ来てるかわかってるから。
それを壊しちゃうと、もうベクはここへ来ないんじゃないかって思うから。
私は、私の役割からは出ない。
自分んちのようにシャワーを浴びて、置いてある服に着替える。どっちがいい？なんて数少ない中から聞いてくるベク。
「そうだなー…黒！」
「Aっていつも暗い方選ぶよな」
「そう？」
少しでもベクが人目に付かないようにとか思ってることは言わない。もちろんペンにばれにくいようにってのもあるけど、小さな私の独占欲だから。
「あーもうちょっと時間あるからゴロゴロしよ」
トントン、と隣を叩けば、こっちにおいでって合図で。
「俺ビスのこと呼んだのになー」
「ひどっ！じゃあ洗濯物してきまーす」
「うそうそ」
腕を引かれてぺたんと座れば、膝に頭を乗せてお腹に絡まってくる白い腕。
「もぉー素直じゃないなぁ」
「ごめんてー」
まだ乾ききってないベクの髪は窓から差し込む太陽で、キラキラして見えた。
「ヌナぁ」
「なぁにー」
答えない代わりにぎゅっと強くなる力。
私が知らない世界で、きっと想像もつかないようなことが色々あるんだろうなと思う。
少しだけ傷んだ髪に指を通せば、くすぐったいのか肩をすくめるベク。
「あったかい」
「ヌナは優しさでできてますからね〜」
「なにそれ、自分で言う？笑」
「誰も言ってくれませんから〜」
目をつぶったままクスッと笑うベクを見ると、この部屋の中だけでもベクを守ってあげられてる気持ちになる。
〜〜〜♪
「ベク、鳴ってる」
「んーヒョンでしょ。出て」
通話ボタンを押してベクの耳にあてる。
「あーはい。15分後に降りる」
あっという間の10時間に終わりを知らせる電話。
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作者名：のりたま | 作成日時：2016年4月24日 0時
