束縛魔～Takeru.S～2 (ページ37)

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『っ…そ、えっ…。』

「A？どうした？」

急に抱きついてくる隆之介に驚いて、言葉を詰まらせてしまった。

そしてなんとも言い表せないほど、切ない悲しい顔だった。

「A？」

健に呼ばれて、ハッとする。

『あっ、な、なにっ！』

「どうしたんだよ、なんかあったの？」

『いや別にっ…。』

慌てて返答すると、隆之介が抱き締める力を強めた。

ぎゅうっと、効果音がつくような。

『ちょっ…！』

「？？やっぱAなんかおかしい。俺がそっち行くわ。」

健がそれだけ言うと、電話は切れた。

『～っ、隆之介！』

「どうなったの？？A行っちゃうの？」

ケータイをテーブルに叩きつけるように置くと、私は隆之介に怒った。

『どうしてそんな顔するのっ…もうっ、いい加減にしてよっ…。』

「え…どうしてって、俺は本当にAが好きだから、なんだけど。」

『……今から健くるから。とりあえず帰って。』

「なんだたけちゃん来るのかよっ！」

悔しそうに言うと、荷物をまとめて隆之介は帰って行った。