束縛魔～Takeru.S～2 (ページ21)

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「はい、出来たよ！」

話が弾んで、時間はあっという間に過ぎていく。

ナポリタンとオムライスが出来上がった。

『わ、懐かしい(笑)』

「美味しそう～！」

『…いただきます！』

フォークにパスタをくるくる巻いて、ひと口食べる。

その瞬間、当時のことが鮮明に思い出された。

この席でナポリタンを食べて、地元のお客さんと話して、デザートも食べて、たくさん考え事して、

朝から晩まで、ずっとここにいたんだ。

ここは私にとって第二の実家であり、心が休まる秘密基地でもあった。

「Aどうしたの？」

『…へ？』

気付くと私は泣いていた。

大粒の涙が頬を伝うのがわかる。

「どうしたんだいAちゃん！？」

『…え？私泣いてる？』

隣に座る隆之介は食べるのをやめて私の背中をさすってくれた。

自分でもなんで泣いてるのか分からなかった。

日頃のストレスとか芸能の仕事とかプライベートの事とか、多分色んな感情が混ざったのだろう。

それが懐かしさと共に溢れ出た。

おばさんはティッシュをくれたけど、私は気にせずナポリタンを食べ続けた。