66 ページ19
・
「A、ここ?」
私が言った"美味しいお店”。
それはここ、私が学生時代密かに通っていたカフェ。
カフェだけどけっこうガッツリなメニューもあって、ランチもディナーもやっている。
学生時代悩んだり考え事が出来た時は、いつもここに通うようになっていた。
『そ、見た目はレトロで古い感じだけど、それがまたいいんだよね〜。味も最高だし!』
店の扉を開いて中に入る。
今日はガラガラだった。
「いらっしゃい!…あれ…もしかして……?」
『おばさん!Aです!覚えてますか!?』
入ると、当時と何も変わらない店主のおばさんが出迎えてくれた。
懐かしすぎる再開に、泣きそうになる。
「やっぱり…!Aちゃん!立派になったねぇ!元気にやってるかい!?」
『覚えててくれたんですね〜!もちろん元気ですよ!』
「そりゃ覚えてるよ!なんてったって今じゃ売れっ子じゃない!いつもテレビ見てるよ〜!さ、何処でも座って!」
おばさんに言われて、私たちはカウンターの端に座った。
「じゃあもしかして、隣の子も…?ああっ!!神木隆之介くん!?」
隆之介の顔をじっくり見て少し考えてから、おばさんは叫んだ。
「はい!神木隆之介です!(笑)」
「神木くんもよくテレビで見るよ〜!すごいんね演技が!」
「いやぁ、そんなことないですよ!」
おばさんが水を出してくれて、それを一口飲んだ。
水でさえも、懐かしい味がした。
131人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すずりょ | 作成日時:2020年5月12日 17時