Last Game (ページ1)

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「1、2、3…」

指を折って数えると薬指で指が止まる。
もう4年も恋愛していない。

私だってもう24歳。
待って…冷静に考えたら結構やばいかも…。

最後って言ったら…
20歳の誕生日で別れを告げられた彼氏。

いつもそう。
思うように動けなくて思うように行かなくて
最後は結局別れちゃう。

そんな恋愛しかしてないから
いつからか恋愛するのが怖くなっていた。

「やばっ！！遅刻する！！」

履き慣れないくせにヒールの高いパンプスを履いて
髪の毛を横に束ねて家から飛び出る。

朝ごはんも食べないまま仕事に向かって今日も1日が終わるんだ。

そう考えるとなにもやる気が出なくて投げやだしたくなる。

「あーもう！！時間やばいんだっうわっ！！」

目の前にあるのは白いワイシャツ…
じゃない！！私が片手に持っていたコーヒーがこれでもかって程かかっていた。

「ごめんなさい！！クリーニング代お支払いします！！」

「全然平気ですよ、気にしないでください」

「いやそういうわけには…っ！！え…」

少し口角が上がっている口元、綺麗な二重の目、顎のほくろ…

「あれ？A？」

「あ…二宮先輩…？」

二宮先輩。
高校の頃私がずっと片思いしていた人。

「うーわ変わってないね(笑)」

そう言って口元に当てたハンバーグみたいな手。

「あの…！！クリーニング代を…！！」

「いいって、気にしないで」

「そういう訳には…」

「じゃあさ…」

意地悪そうに上がる口角。

「今日の夜、飯行こうよ」

「え…？」

突然の言葉に反応を失った。

「じゃあ仕事終わり次第またここに集合ね」

そう言うと片手を私の方に上げて走っていく後ろ姿。

え…待って…私今約束したってことになってる？

「じゃなくて！！遅刻！！」

急いで電車に乗った。

仕事中はもちろん二宮先輩のことで頭がいっぱい。
気付いたら勤務時間は終わって会社を出ていた。

冗談なのか本気なのか…
あの二宮先輩だからどっちもありえそう。

どこかミステリアスだから何を考えているのかが分からない。

きっと冗談だ。
近くのスーパーに寄って帰って1人で…ひとり…。

気付いたら朝会ったあの場所に向かっている私。

姿がなかったら諦めて帰る。

姿がなかったら…ある…

スマホをいじっている二宮先輩。

こっちに気がつくと

「良かった、来ないかと思った(笑)」

あの時と同じ笑顔でこちらに歩いてくる。

嘘だ…。