74.好きだから突き放す ページ34
ドラケンは足を止めた。
少し黙っていたが、やがて独り言のように話し始めた。
「稀咲はマイキーに心酔してた。
でもそれがいつの間にか憎悪に変わってた」
武道の方を振り返りながら、ドラケンは言葉を紡ぐ。
武道の頬には冷や汗が伝った。
「稀咲は……マイキーの大事なモン全てを奪いたいんだよ」
ドラケンがそれだけ言うと、扉はバタンと閉められた。
ドラケンは、また監獄へと戻る。しかし、今日は自分の部屋でなく、屋上へ出向いた。
『ドラケン君、ご苦労さま』
人を殺した後、ドラケンの肩に手を置き稀咲はそう言った。
そのときの稀咲の笑顔を、ドラケンは鳥を見ながら思い出していた。
『どうして？ マイキー……』
ふと、女の顔が脳裏に浮かんだ。
大きく見開かれた碧眼は、いつにも増して美しかったのを覚えている。
Aが東卍を辞めさせられたのは、ドラケンが殺人を犯して死刑囚となる前のこと。マイキーがAを辞めさせるその瞬間を、ドラケンは見ていた。
マイキーに突然の宣告を受け、Aはひどく困惑した様子だった。
納得いかず何度もマイキーに抗議したが、マイキーはそれ以上何も言わなかった……。
その奥の方で、稀咲がほくそ笑んでいたのも記憶に残っている。
マイキーがAを東卍から追放した理由を知るのは、おそらく、マイキーと、ドラケンだけ。
ドラケンは知っていた。
マイキーは未だAに想いを寄せていた。だから稀咲に“マイキーの大切なもの”として殺されないように、Aを蔑ろに扱ったのだ。
「ずっとマイキーは片想いしてるっつーのに……」
なんて救われない恋だろう。
なんて皮肉な恋だろうか。
ドラケンはため息をつき、踵を返した。
鳥はもう見えなくなっていた。
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わがはい(プロフ) - りなさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます。励みになります！ ご指摘ありがとうございます。名前の変換修正いたしました。 (2022年4月20日 15時) (
レス) id: fe7c1fcf9f (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すごく面白いです✨更新これからも楽しみにしてます💕あと名前の変換ができてないです…😢 (2022年4月20日 9時) (レス) @page2 id: 047ec70aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わがはい | 作成日時：2022年4月19日 19時
