60.本人の意思を尊重しましょう ページ19
ぺーやんはそれを聞いて言葉を失った。
そんなことは知らなかった。
「そんなドラケンをオマエはハメたんだ！」
「ドラケン……」
「ちゃんと謝れよ。ドラケンにもパーちんにも、みんなにも……」
「……うん……」
弱々しく、しかし確かに、ぺーやんは首肯した。
三ツ谷はまた前を向く。
「おかえりぺーやん」
三ツ谷の言葉に、ぺーやんにまた涙がこみ上げた。
＊＊＊
外に出ると、空はもう真っ暗で、雨は止んでいた。
「あ、どうしよう！
こんな時間だ！！ 0時過ぎてる」
「もう8月4日じゃん」
ヒナはガラケーを開くと、焦ったように言った。そんな彼女に対して、エマは少し呑気に呟く。
「え？」
現代で、ナオトは、“8月3日にドラケンを救え”と言っていた。今日はもう日付が変わっているという。
全身の力が抜け、武道はその場にペタンと座り込んだ。
8月3日が終わった。
“ドラケンを守る”というミッションは成功した。
なんてったって、今日は8月4日……。
武道は跳ね起きた。
8月4日、今度はAが死ぬ日だ。新聞記事にはAとは書かれていなかったが、ドラケンと立て続けにAは死ぬはず。
それを思い出して、武道は周囲を見渡す。Aは見当たらない。そういえば、ヒナとエマも探していたような気がする。
Aを探すため、左右を見ながら小走りに近くを移動する。既に少し不安だった。
「ん？ ……あっ」
壁に寄りかかるAがいた。隣にはマイキーもいる。
声をかけようとしたが、すんでのところで武道は声を発さなかった。
ずる、とマイキーは、壁にもたれかかったまま座り込んだ。Aは前を向いたままだった。
「……よかったっ」
「うん」
「ケンチン」
「……うん。彼は……ドラケンは、」
マイキーは泣いた。
Aはマイキーを見ようとしなかった。
きっと、彼が泣いていることを、それを見られたくないことを、わかっていたからだった。
「生きようと、してくれた」
武道の胸が、キリキリと痛んだ。
ドラケンが手術中のマイキーを思い出す。
Aが泣いても、みんなが不安でも、彼は気丈に振る舞っていたのだ。
一番辛いのは……他でもない、マイキーなのに。
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わがはい(プロフ) - りなさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます。励みになります！ ご指摘ありがとうございます。名前の変換修正いたしました。 (2022年4月20日 15時) (
レス) id: fe7c1fcf9f (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すごく面白いです✨更新これからも楽しみにしてます💕あと名前の変換ができてないです…😢 (2022年4月20日 9時) (レス) @page2 id: 047ec70aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わがはい | 作成日時：2022年4月19日 19時
