58.イヌの目にも涙 ページ17
「ありがとな、タケミっち。オマエは俺の恩人だ……」
ドラケンは呟く。
武道はグッと涙をこらえ、笑った。
「止してくださいよ。ほとんどA君のおかげっす。
それにそんな
ドラケンは返事もせず、どこか遠い目をして、じっと天井を見つめていた。
「マイキーを……頼む……」
「……え？」
ドラケンの目が、静かに閉じられた。
＊＊＊
想像以上に重体らしく、ドラケンは手術をすることになった。
「嘘だよ……嘘って」
「そんな……」
手術室の前は、暗い雰囲気に包まれていた。
医者によれば『今夜が峠』。切羽詰まった表情で言われては、不安を煽られるのは当然だった。
「怖いよぅヒナぁぁ」
「エマちゃん……」
「……エマ」
「うぅ……A……っ」
不安が一番態度に現れていたのはエマだった。
そんな彼女を、ヒナとAは励ましていた。
深夜の静かな病院の廊下から、走る足音が聞こえてきた。
「A！」
三ツ谷とぺーやんだった。
Aはエマから視線を動かした。
「ドラケンは！？」
「ドラケンは無事か！？」
「……ふたりとも……」
Aは、キヨマサがドラケンを刺したこと、現在危ない状況ということを説明した。
三ツ谷は悔しげに壁を殴り、ぺーやんは信じられない、というように冷や汗を流していた。
そんな二人を見つめながら、Aは泣くエマの背中をさすっていた。
「A」
名前を呼ばれ、ぴくっ、とAの耳は動き、勢いよく声の主の方を向いた。
Aを呼んだのはマイキーだった。
みんなの視線が集まる。
「……マイキー……」
マイキーの姿を見て、Aの胸は締め付けられた。
視界が涙で滲む。
「ドラケンが……」
ふわり、とAの体が温かいものに包まれた。
マイキーが抱き締めたからだった。
安心感からか、ボロボロととめどなく涙が溢れ出た。やがて嗚咽が漏れた。
「僕がっ……もっと、ちゃんと……しけ、止血……とか、早く、ドラケンをッ……運んでたら……っ」
「落ち着け、A」
「うぇっ……う、……」
マイキーに言われ、Aは少しずつ呼吸を安定させた。
Aの涙が止まると、マイキーは椅子に座った。
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わがはい(プロフ) - りなさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます。励みになります！ ご指摘ありがとうございます。名前の変換修正いたしました。 (2022年4月20日 15時) (
レス) id: fe7c1fcf9f (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すごく面白いです✨更新これからも楽しみにしてます💕あと名前の変換ができてないです…😢 (2022年4月20日 9時) (レス) @page2 id: 047ec70aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わがはい | 作成日時：2022年4月19日 19時
