43.ペトリコールを待ちわびて ページ2
唐突に閉口してしまったマイキーに、Aは心配になる。
しかし、「マイキー？」と名前を呼ぶと、すぐに返事がきたのでほっとした。
「じゃあね、待ってる」
《うん》
そこで電話は終わった。名残惜しくて、切れたあとのガラケーを少し見つめた後、Aは武蔵神社へと向かった。
＊＊＊
ゆっくりなペースで歩いてきたので、本当は15分前に到着する予定が、待ちあわせ時間通りに着いた。
武蔵祭りは賑わっているようで、次々と人が往来していった。
Aは鳥居の前に立ち、その光景をぼんやりと眺めていたが、しばらくしてからガラケーを開いた。到着したことをマイキーに連絡するためだった。
「と、う、ちゃ、く……と」
Aは送信ボタンを押した。
マイキーとAのメールの文字数は、恐ろしく少ない。大抵が一言か二言程度だ。しかし、二人の間には信頼関係が充分に構築されているため、今まで不便に感じたことはないらしい。
そう、それくらいの信頼関係がある。
けれど、マイキーは“野暮用”の内容を教えてはくれなかった。聞けば何かしらの反応は得られるだろうが、そんなデリカシーに欠けたことは出来なかった。
流石に少し不安になった。信頼関係があるからこその不安だ。
Aがガラケーを閉じ、巾着の中を手探りしていると、何か手首にひやりと刺さるような感触がした。
「……雨」
Aは持ってきていた和傘を差した。その丁度くらいに、雨は本降りになり始めた。焦って鳥居から出ていく人も多い。
ふと、マイキーは傘を持ってきているだろうか、と思った。傘にかこつけて、彼の野暮用とやらに同行してはいけないだろうか――……
そんな考えが浮かんだが、Aは頭を振った。
ガラケーを開く。連絡は来ていない。
気づけばため息が漏れ出ていた。
「……あれ？」
顔を上げると、傘と地面の隙間から東卍の特攻服が見えた。
誰だろうと思い傘を傾けると、ぺーやんだった。タスキをかけている。表情は険しい。
……それに、
しかし、ぺーやんはAに気づいていないらしく、そのまま前を通り過ぎていってしまった。
胸騒ぎがした。
……少しくらいなら、と思い、Aはぺーやんの後をこっそり尾けた。
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わがはい(プロフ) - りなさん» そう言っていただけて嬉しいです、ありがとうございます。励みになります！ ご指摘ありがとうございます。名前の変換修正いたしました。 (2022年4月20日 15時) (
レス) id: fe7c1fcf9f (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - すごく面白いです✨更新これからも楽しみにしてます💕あと名前の変換ができてないです…😢 (2022年4月20日 9時) (レス) @page2 id: 047ec70aff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：わがはい | 作成日時：2022年4月19日 19時
