第40夜｢世界が壊れても｣ ページ32
ガラン、カン…。
立て続けに、
地面に散らばるのは、微かに緑色に光る歯車の破片。シャルルの、魂だったものだ。
異常な速度で脈打つ心臓とは真逆に、私は酷くゆっくりとした動作で、顔をそちらに向けた。
ノーチェの右手には、アゾット剣ではなく、見覚えのある拳銃が握られている。
｢…概念武装《魔弾フライクーゲル》…使えるものは、使わないとね｣
《ラプラスの悪魔》が使っていたものだった。私は再び視線を下に落とす。
｢…ルル？｣
返事はない。
｢…なに、してんの…？ これからアイツ、ぶっ飛ばしてやろうって時に…はは、全くもう…｣
その意味を認識した時、膝から崩れ落ちた。
｢どうして…なんでよ、ルル…！｣
[…も…し、わけ…ございません…]
かすかに鼓膜を震わせた声に、ぎゅっと閉じていた瞼を、瞬時に開ける。
[あなたとともに、戦うことは…叶いそうにもありませんね]
情けない、と心底からの声音でシャルルは自嘲っぽく呟いた。
｢そんな…｣
[…Aさま。最後にひとつだけ伝えさせてください]
それを聞いてしまったら、あなたは…
[お慕いしております]
ひどく静かな世界で、彼の声は容易に私の耳に届いた。
｢…え？｣
[おそらく、貴女がわたしを『もっと知りたい』と言って下さった時から…]
｢それって｣
初対面の、時の。
[道具の分際で、あなたを愛してしまった。この結末はその報いでしょう。…申し訳…ございません、Aさ…ま…]
声が途切れると同時に、歯車のピースから発せられる光が、弱まっていく。
｢…なに、それ…私のことが好きだって言うんなら──世界が壊れてもそばにいてよ！｣
慟哭するも、その叫びに答える者はいない。
シャルルの抜け殻と砕け散ったピースの上に、熱い涙が一粒落ちて──
『諦めるのは、まだ早いよ』
身体の透けた少女が、目の前に姿を現す。
『条件は整った。A。キミの特別製念能力の出番だ』
吸い寄せられるように両手をシャルルにかざした。
パァァ…と、光が灯されて──
『カレイドステッキたち。キミたちが支え合えば、なんとか仕上がる』
顔を見合わせたマジカルルビーとマジカルサファイアが、意を決して両手の光の中に飛び込んで行った。
途端に純白の光が大きくなり、目も眩む輝きは、自分ごと呑み込んで…
夜天に輝く、白銀の月。
──目の前には桜が満開に咲き誇っていて、足元は青いネモフィラの花々。
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桜 柚 華(プロフ) - Ariaさん» わ〜ありがとうござます！楽しみにしてますね！ (2018年10月23日 17時) (
レス) id: b1ef66baef (このIDを非表示/違反報告)
Aria(プロフ) - 桜 柚 華さん» 分かりました！来月には、公開できるように頑張ります。お楽しみ下さいね！ (2018年10月23日 7時) (レス) id: b030c4d1e6 (このIDを非表示/違反報告)
桜 柚 華(プロフ) - アダルト系の夢小説も是非読みたいです 気になります！ (2018年10月23日 7時) (レス) id: b1ef66baef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - Ariaさん» なるほど！わかりました！ (2018年10月12日 21時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
Aria(プロフ) - あいさん» では、本編はクラピカルートですが、キルアとの絡みに限定した中編を書きますね。本編を内容を削れるだけ削れば、執筆する余裕が出てきますから。 (2018年10月12日 21時) (レス) id: b030c4d1e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Aria | 作成日時：2018年7月23日 12時
