第29夜｢アルデバルトの理論｣ ページ21
──スタンッ。
ひび割れた地面の上に、アルデバルト＝クロレは降り立つ。
｢…来たんだ？アルデバルト｣
｢あぁ、アカシックレコードから帰る途中だったんだが、急に世界が崩壊したものだからな…驚いて引き返してきた｣
｢相変わらず強引な奴…ドライバーにも無理させたんでしょ｣
ノーチェはバスの運転席を見やる。
滞空したままのバスは、地上に降りてくる気はないようだ。
｢で、何しに来たのかな？｣
｢お前を止めに来た｣
ククッとノーチェの口から嘲笑するような声が漏れ出た。
｢ボクを止めに？何故？ボクは規程違反をしたAを処分しにきたんだよ？特異点の回収は立派なお仕事じゃないか｣
｢ふざけるな。それは最終手段になっている｣
｢世界が滅んでるっていうのに、最終手段も何もないでしょ？｣
そう言って退けられたアルデバルトは、苦虫を噛み潰したような表情をし、足下に視線を落とす。
ノーチェは、そんな彼の姿を目にして優越感を覚え、ほくそ笑む。
同時に、七色に光るAの《
｢…まだだ｣
｢！｣
｢まだ…可能性はある｣
｢…本気で言ってんの？それ｣
｢あぁ｣
アルデバルトの灰色の瞳に、くすんだ黄土色の長髪の青年が映る。
｢あの夢の世界は──可能性世界の外部から来た俺やファビオをも招き入れた…何の違和感も生じさせずに｣
｢……｣
｢分かるか？ノーチェ。あれはひとつの世界として成り立っていたんだ。夢という偽りの世界にも関わらず｣
｢…何が言いたいんです？｣
ノーチェの目つきが鋭く変わる。
｢──もう一度、世界を生み出せるかもしれない｣
アルデバルトの言葉に、ノーチェは鼻で笑って取り合わない。
｢何を言い出すのかと思えば…神じゃああるまいし。そんなことできるはずがない｣
｢そいつァどうかな｣
今度はアルデバルトがノーチェを小馬鹿にしたように口角を上げた。
｢Aの念能力は、むしろ終わったものに対して有効だぜ？｣
｢…まさか｣
ノーチェは瞠目する。
｢次は…終わった世界そのものを転生させるつもりか…!!?｣
驚愕したが、すぐに真っ向から否定した。
｢は、はは…有り得ない。そんなもの、机上の空論だ…！第一あれは夢でしかない！｣
｢じゃあなんで因果が二倍に増幅したんだ？｣
ぐっとノーチェは言葉に詰まる。
｢キャラクター共の意識を取り込んだあの世界は、夢であっても実在した世界だった｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜 柚 華(プロフ) - Ariaさん» わ〜ありがとうござます！楽しみにしてますね！ (2018年10月23日 17時) (
レス) id: b1ef66baef (このIDを非表示/違反報告)
Aria(プロフ) - 桜 柚 華さん» 分かりました！来月には、公開できるように頑張ります。お楽しみ下さいね！ (2018年10月23日 7時) (レス) id: b030c4d1e6 (このIDを非表示/違反報告)
桜 柚 華(プロフ) - アダルト系の夢小説も是非読みたいです 気になります！ (2018年10月23日 7時) (レス) id: b1ef66baef (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - Ariaさん» なるほど！わかりました！ (2018年10月12日 21時) (レス) id: a2c75168cb (このIDを非表示/違反報告)
Aria(プロフ) - あいさん» では、本編はクラピカルートですが、キルアとの絡みに限定した中編を書きますね。本編を内容を削れるだけ削れば、執筆する余裕が出てきますから。 (2018年10月12日 21時) (レス) id: b030c4d1e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Aria | 作成日時：2018年7月23日 12時
