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私は暗殺一家リーフィリア家の一人娘であり、ゾルディック家の長男―――イルミ様の専属執事でもある。
ゾルディック家とリーフィリア家はそれなりに親同士も仲が良く、専属執事の件もトントンと進んでいった。子の話も聞いてくれと考えてしまったが、イルミくん―――いや、イルミ様は乗り気だったようであっという間に決定してしまった。
私の意見も聞いて欲しかったな。
「はぁ……」
思い出して溜め息を吐いていると、元凶であるイルミ様が帰宅してきた。微かに香る鉄の臭い。仕事帰りなのだから当然かと考えながらスっと両足を揃えて頭を下げる。
「お帰りなさいませ、イルミ様」
「うん、ただいま」
イルミ様はそう言うと、自室に戻ろうとして足を止めた。どうしたのかと盗み見ているとこちらにくるっと振り返った。
「そうだ、お前も俺と一緒に来てよ」
「え？」
「ほら、命令だよ」
「……分かりました。同行させて頂きます」
変な命令だと思いながらイルミ様の後をついていく。
昔からイルミ様の考えている事は読めない。無表情だし、淡々としているし、本当に何を考えているのか分からないことが殆どだ。
今もそう。どうして私までイルミ様の自室まで行かなければいけないのだろうか。要件なら自室に呼び出さなくてもさっき言ってくれればいいのに。
そんなことを考えているうちにあっという間にイルミ様の自室に着いた。イルミ様は『シャワー浴びてくるから待ってて』と言ってシャワーを浴びに行った。
ふと辺りを見渡す。
必要最低限のものしか置かれていないシンプルな部屋。昔と全く変わらない。変わったのは私たちの関係くらいだろうか。
しばらくしてシャワーを浴び終えたイルミ様が戻ってきた。半裸の状態で。
「ッ―――！？ い、イルミく……イルミ様！ 服を着てください……ッ！」
危うく昔の呼び方で呼びそうになってしまった。仕方ない、これは誰でも動揺すると思う。
「ん？ あぁ、ごめんごめん。今着るから」
そう言ってなんの悪びれもなく上を着てくれた。
「というか、そんなに動揺しなくてもいいでしょ。何度も見てるんだし」
「誤解を生む発言は控えてくださいっ……！ それは幼少期の話でしょうっ」
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作者名：Snow | 作成日時：2022年8月6日 19時
