７８羽 ページ40
・
・
歓喜にあふれる会場と、勝利に対する喜びを体全体で表す青城……そして、崩れ落ち、悔しがる烏野の選手たち。
「(及川サンの無茶苦茶なセットアップから、何が起こったの……。プレー中はこの時間が永遠のようだったのに、終わってみると一瞬……一瞬、だ。)」
Aは選手達と同様にその場に座り込んだ。
近くに居た嶋田や及川ファンの女子が駆け寄り、「大丈夫！？」と声をかけるが、Aの耳には届いていない。周りの声も聞こえない程度には夢中で、それでいて冷静に。Aは烏野の勝負の結果に涙を落とした。
IH予選3戦目、青城戦。烏野は――敗北した。
静かに、あふれる涙を最低限にしようと泣くA。口に手を当てて、今にももれそうな声を必死にこらえる。それに時折嗚咽が混じって、人目なんて気にしている余裕などやはり作れそうにもなかった。
そんな時、なにも耳に入らなかったAの耳に唯一声が届いた。
「整列！！」
負けてもなお力強くチームをまとめる澤村の声が響いた。その声に我に返らされて、ハッと顔を上げる。
ゆっくり立ち上がると、一列にならんだ烏野メンバーが目に入る。「ありがとうございました！」と声をそろえて頭を下げるチームメイト。伊達工戦でも、常波戦でもみた光景であるというのに、こんなにも心が締め付けられるのは何故だろう。
「おつかれ。」
「良い試合だった。」
勢いのない嶋田たちの声は、彼らに届いただろうか。……確証がないなら、自ら届かせてみせよう。
「皆さん……、お疲れ様でした！」
精一杯、大きな声で――大好きな彼らへ。
・
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 649人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ラー油 - すみません たしか西谷さんの回転レシーブはローリングサンダーだと思います。 (2021年4月4日 8時) (
レス) id: 0628ebf5e7 (このIDを非表示/違反報告)
Sacco - 47羽目にセットアップとなってますが、セッターではないでしょうか？突然申し訳ありません。とても素敵な小説ありがとうございます。これからも応援してます。 (2016年8月8日 14時) (レス) id: f404a711c2 (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - さっこさん» すいません！ありがとうございました！ (2015年8月31日 21時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
さっこ(プロフ) - 朝日になっています (2015年8月31日 20時) (レス) id: 92e8049c9f (このIDを非表示/違反報告)
花宮幸ヤ(プロフ) - 人生オワタな奴さん» そうですか、よかったです！いえいえ、大丈夫ですよ！私は結構誤字が多いので、これからも見つけたらよろしくお願い致しますm(._.)m (2015年8月22日 16時) (レス) id: 0d803f7706 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：赤兎リエ輔 x他2人 | 作者ホームページ：http://nekomoti
作成日時：2015年8月13日 10時
